1時間で2.5億を売り上げる伝え方「パブリックスピーキング」とは?

ビジネス

公開日:2018/10/15

『パブリック・スピーキング最強の教科書』(小山竜央/KADOKAWA)

 一般的にカリスマと呼ばれる人には、その言葉により見ず知らずの人でも動かしてしまうような絶大な影響力がある。しかし、カリスマの伝え方には法則性があり、それを学ぶことで誰でもビジネスで結果を出せるようになるという。

『パブリック・スピーキング最強の教科書』(小山竜央/KADOKAWA)という書籍に、その秘密が明かされている。

 著者・小山竜央氏によると、パブリックスピーキングとはセミナー講師のような、人に伝えることを生業とする人だけが学ぶべきノウハウではなく、これからの時代を生き抜く人全てに必要なビジネススキルだという。

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 では、どのようにすればパブリックスピーキングを使いこなせるようになるのだろうか。本書ではビジネスにおいて必ず直面するであろう「存在を知ってもらう」「興味を持ってもらう」「信頼をつくる」「購入してもらう」という4つのステップの話を、セミナー集客という事例を用いて伝えている。

 パブリックスピーキングというとセミナーなどで伝える場面でのテクニックのことだと考えがちだが、驚くべきは伝え方だけでなく、セミナーの企画・設計ひとつにもきちんとした意図を持って考えていくことである。

 例えば、セミナー来場者の興味をリサーチしてより響くように自己紹介を変える、脳に強く印象づけておきたいものは右脳が働くようにステージの左側に置く、服装は来場者のレベルより一段階上のものを選ぶ…などの徹底ぶりである。

 超一流のスピーカーは話をする前に、結果が出る環境を作るところも含めて考えているのだ。まさに“段取り八分”ということである。

 来場者にとって結果が出るということは、セミナー前後で変化が起こることである。そして、変化が起こったと感じてもらうためには、上記のような環境づくりをはじめとして、姿勢、声、表情、呼吸といった非言語の部分、言語の部分の中でもストーリーの展開の仕方、来場者への質問の仕方にまで気を配る必要がある。

 著者はマーケティングの本質を「(必要としている人に)正しく伝えて届ける」ことだと言っているが、このレベルまで気を配らないと伝えたいことが正しく伝わらず、ひいては来場者に変化を起こすことはできないというメッセージがひしひしと伝わってくるようである。

 セミナーの話を中心に展開しているが、そもそも自分にはセミナーができるコンテンツがない、という方に対する回答も記載されている。すなわち、“コラボすること”である。

 実績のある人、自分と異なるジャンルの人とコラボするには、Giver(ギバー)かConnector(コネクター)になること、つまり、相手に利益をもたらせる提案をするか、相手の欲しい人脈をつなげるかが重要である。

 そうすることで、自分1人では提供できなかった価値を来場者にもたらしつつ、コラボ相手にも価値を提供できるのである。

 ここまでいくつものテクニックについて触れてきたが、パブリックスピーキングでテクニック以上に重要なのは内面であることにも触れている。

 内面とは、“感情のコントロール”“誰もが納得する価値観”“精神的拠り所となる信条”から形成されている。もし細かいテクニックを知らなかったとしても、この内面さえ整っていれば、人を動かすことができると著者は述べている。

 本書の中にはここまで記載したこと以上に変化のきっかけになる要素が満載である。セミナーから商品を売るなんて自分には想像もつかないと思っているあなたこそ、一読する価値があるのではないだろうか。

文=岸川浩一朗