気難しい上司、上から目線の同僚……“面倒くさい人”を動かす「気づかい」のコツ

暮らし

2018/10/17

『慶応卒の落語家が教える「また会いたい」と思わせる気づかい』(立川談慶/WAVE出版)

 落語家・立川談慶は慶應義塾大学卒業後、3年間のサラリーマン生活を経て、立川談志18番目の弟子として入門。国立演芸場をはじめ、上野広小路亭などで数多く独演会を行うほか、テレビやラジオでも活躍している。そんな彼が執筆した本が、『慶応卒の落語家が教える「また会いたい」と思わせる気づかい』(WAVE出版)だ。芸人の昇進や成功に必須の要素であり、一般社会でも使える「気づかい」の方法が書かれた一冊。今日は本書から、できる大人になるための「気づかい」のコツをいくつか紹介する。

■相手に好かれる前に、自分から好きになる

 コミュニケーションの基本は「人を見ること」だと語る著者。「人を見る」ために一番良いのが、相手を好きになること。好きになれば、相手を見るのが苦にならない。好意は相手に伝わり、向こうもこちらをきっと好きになってくれるという。AI(人工知能)が浸透してきている世の中、著者は、「文明」が「他人を見る必要性」を減少させてしまうのではないかと危惧する。現在では希薄になっている「他人を見るセンスや気づかい」を養うと、他人と差をつけられるようになるという。

■「小さな気づかい」を習慣化させてNo.1に

 地道な信頼関係の積み重ねは、ご褒美のような結果をもたらすという。「小さな気づかい」を習慣化させると、何もしていない人とのあいだに天地ほどの差をつけられる。新幹線で売上ナンバーワンを誇る売り子さんは、指定席に座る団体の客層を前もって調べ、「その人たちが欲しがるはずの品物」を予想し、あらかじめ品揃えする。年配の客が多いなら、ポケットマネーで買える孫へのお土産を用意しておくのだという。そうした「小さな気づかい」の積み重ねが、販売実績1位という結果に結びついているのだ。

■書面でお詫びしてはいけない理由

 著者によると、大概の「しくじり」は謝罪の速度と態度によって緩和されるという。「詫び状は時間の猶予がある分、後出しジャンケン的にも受け止められ、かえって怒りをプレイバックさせてしまうことにもなりかねません」。著者も前座時代に山ほどの失敗をしてきた。その度に、スーツに着替えてお詫びに出向いたという。落語の中に「とりあえず、謝っちゃえ。小言は頭の上を抜けていく」という台詞があるが、それは落語の世界だけではなく、一般社会でも通じる言葉だろう。

 落語家の修業期間である「前座」を9年半のあいだ務めた著者。師匠である立川談志ら、“天才”と呼ばれる落語家たちを見るなかで、そういう人たちと同じ土俵で仕事をしていくためには“気づかい”が鍵になると気づいたという。「業界の内外で名を成す人たちは、皆一様に人たらしであり、最初から天才だったというよりも、気づかいを天才的に駆使した結果、いまのポジションを得た人たちだったのです」。人間同士のコミュニケーションが希薄になってきているこの世の中、「気づかい」を積み重ねて生きている人こそ、周囲にとって「また会いたい」と思わせる魅力を持った人物なのではないだろうか。

文=ジョセート