カメレオンの舌はジェット機を上回る加速度!?【身近だけど意外と知らない筋肉の秘密】

暮らし

2018/10/14

『筋肉は本当にすごい すべての動物に共通する驚きのメカニズム(ブルーバックス)』(杉晴夫/講談社)

 身体の機能で最も大切なのはどこだろう? 心臓かもしれない。全身に栄養や酸素などを供給する血液を循環させるために欠かせない器官だ。あるいは、人間の指令塔にして神秘の箱である脳だろうか。

 しかし、基本的になくてもよい組織など存在しないはずだ。どれも人間が生きていくうえで、なくてはならないものだろう。

 ここで本題。先ほどの問いで“筋肉”と答えた人は少ないのではないだろうか。以前の私であれば、確実に“筋肉”が答えに出てくることはなかった。だが、今ならば“筋肉”が間違いなく、なくてはならない組織だと言える。

 そんなきっかけをくれたのが『筋肉は本当にすごい すべての動物に共通する驚きのメカニズム(ブルーバックス)』(杉晴夫/講談社)だ。本書は、身近な存在ともいえる“筋肉”にフォーカスを当てた一冊。

“筋肉”が、いかに人体にとって欠かせない存在であるか、これまでに筋肉の研究がどのようにおこなわれ、どのような結果をもたらしてきたのか、など筋肉に関する知識がたっぷり詰まっている。

 身体を動かすためには骨格筋という筋肉が必要で、血液を全身に循環させる心臓の収縮には心筋が働いている。さらに、血流の維持・調節をおこなう血管筋や摂取した栄養分を消化・吸収するための内臓筋、酸素を肺に取り入れるための横隔膜の呼吸筋。知識としては確かに知っていた。だが、本書を読み、筋肉について学ぶことで、全ての活動を支えているのが筋肉であると改めて感じた次第だ。

 本書には、先ほども述べたように筋肉についての研究の過程や結果が記されている。以下に、そのような学術的内容ではなく、本書に取り上げられている「へぇ、そうなんだ!」と思える、筋肉と人間以外の生物についての雑学を数点紹介したい。

■魚によって使う筋肉・泳ぎ方が違う

 言われてみれば確かに! と思える内容だが、魚の泳ぎ方は全て同じではない。同時に使う筋肉も魚の種類によって違うという。

 浅い海に住んでいる魚は胸・腹・背びれを使って泳いでいるのに対し、世界の海を巡る回遊魚などは、エネルギー節約のために尾びれだけ、あるいは体と尾びれを同時に動かしているそうだ。

 この雑学を知っていれば、魚がどこに住んでいるか知ることで、どこが身が引き締まった部位なのか、どこが脂が乗っている部位なのかを予測することができ、楽しめるのでは、と思ってしまうのだが、私だけだろうか……。

■カメレオンの舌の加速度はジェット機をも上回る!?

 人間の身体の中で一番マッチョなのは舌、というのは聞いたことがある。しかし、舌を使って獲物を捕らえ、日々暮らしているカメレオンはさらにスゴイことになっているらしい。なんと、舌を獲物に向けて伸ばす加速度がジェット機よりを上回るそう。

 この速度を可能にしているのが、舌の中心にある棒状の「舌骨」と、舌骨にを取り巻いている筋肉組織「加速筋」、舌の全長に沿って走る「舌短縮筋」。メカニズムについては本書を確認いただきたい。

 筋肉にまつわる話は、他にも「鳥類の飛翔筋」や「セミの発音をおこす筋肉」、「カブトガニの生存に役立った尾の筋肉」など様々。本書を読めば、今まで抱いていた筋肉のイメージが少し変わるはずだ。

文=冴島友貴