「けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる」自己肯定感を奪わずにしつける方法

出産・子育て

2018/10/21

『子どもが育つ魔法の言葉(PHP文庫)』(ドロシー・ロー・ノルト:著、レイチャル・ハリス:著、石井千春:訳/PHP研究所)

 1954年に発表されたある詩が、世代を超えて、今でも世界中の親に勇気を与え続けている。ドロシー・ロー・ノルト氏の「子は親の鏡」である。「けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる」に始まり、「和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる」で終わる、わずか19行の詩の中には、洗練された言葉で親のあるべき姿勢、育児の考え方が示されており、育児に悩む親の助けとなっている。

 ドロシー氏は2005年に永眠されたが、世界中で愛され続けているこの詩の詳しい解説を残していってくれた。1行ずつ解説された『子どもが育つ魔法の言葉(PHP文庫)』(ドロシー・ロー・ノルト:著、レイチャル・ハリス:著、石井千春:訳/PHP研究所)から、初行と最終行だけを簡単に紹介したい。時代を超えて、若い親に光明をもたらしてくれるはずだ。

けなされて育つと、子どもは、人をけなすようになる

 子どもに怒りたくて怒る親はめったにいない。子どもに何度言ってもきかない、時間がないのにぐずぐずしている、などの理由があるから、親はカッとなって怒ったりけなしたりしてしまう。その後に親は「またやってしまった」とひとり反省することもあるだろう。

 本書によると、「もう寝る時間ですよ」という時間を知らせる一言ですら、子どもの自己肯定感を奪ってしまう。親がイライラしているときに、「なにをぐずぐずしているんだ」という非難を込めて言うだけで十分だ。そうすると、子どもは「自分は愚図なのだ」と思う。

 また、カッとならないためには親が意識的に自分の気持ちをコントロールする必要がある、と述べられている。「けなす」「非難する」「叱る」ではなく、「問い掛ける」のだ。子どもがなぜそのような状態になるのか、どうしたらうまくいくのか、それを親子で一緒に考えるようにすれば良い。こういう小さなシーンの積み重ねが、子どもの親に対する信頼を育てていく。親はできる限りこのことを頭に置くように努めれば、子どもをけなすことが少なくなるかもしれない。

和気あいあいとした家庭で育てば、子どもは、この世の中はいいところだと思えるようになる

 本書は、子どもが成人して家庭を持ったとき、手本とするのは、自分の生まれ育った家庭だと述べる。そうであれば、子どもが温かい家庭を築くために、親が温かい家庭を作り、居心地の良さを知らせてやるべきだ。配偶者の悪口は言わない、家族で助け合う、家族で楽しい企画を考え実践する…さまざまなやり方で、「和気あいあいとした家庭」を作ることができそうだ。

 この項で特に示唆に富む1節がある。

 親として一番大切なことは、子どもに何を言うかではない。心の中で何を思っているかでもない。子どもと一緒に何をするかである。親の価値観は、行動によって子どもに伝わる…という内容だ。子どもと過ごす日常の中で、行動によって家庭の居心地の良さを子どもに伝えることで、子どもは「この世はいいところだ」と思い、生きる力を高めていく。

 この詩で一貫してうたわれているのは、タイトルのとおり「親は子の鏡である」ということだ。ドロシー氏の言葉を借りれば、「子どもは、常に、親から学んで」おり、「親の姿が、手本として、子どもに生涯影響力を持ち続ける」。そして、親の影響は世代から世代へと受け継がれていく。親の責任はかくも重たいものか、と背筋が伸びる思いだが、同時に親であること、育児の魅力も感じられるのではないだろうか。

文=ルートつつみ