今やビジネスツールのひとつ! 知っておくべき世界共通の“ワイン”の知識とは?

ビジネス

2018/10/24

『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』(渡辺順子/ダイヤモンド社)

 お酒をたしなむ人にとって、秋は新酒が楽しみな季節だろう。特にワインの「ボジョレー・ヌーヴォー」の解禁日は日本ではスペシャルな日と位置づけられ、飲食店が解禁時間に合わせイベントを開き、毎年のようにニュースで取り上げられ話題だ。ところが、実はワインの本場の国々では日本のような熱狂的な盛り上がりはサッパリないらしいのだ…。

『世界のビジネスエリートが身につける 教養としてのワイン』(渡辺順子/ダイヤモンド社)は、ワインの産地や品種の違いはもちろん、上記のような文化的な差異、そしてワイナリーの歴史や生産秘話、あるいは投資としてのワインビジネスにいたるまで、初心者に限らずビジネスパーソンが“今知っておきたい”世界のワイン情報も盛り込み、多角的にワインの知識が深められる1冊である。

 章のテーマごとに多くのエピソードが書かれており、例えば、高級シャンパンで知られる「ドン・ペリニヨン」誕生には「うっかりミス」が絡んでいることや、イタリアワインの「キャンティクラシコ」のシンボルマーク「黒い鶏」は国同士の戦いの伝説からだったというような逸話や、アメリカで現在起きている空前の“ロゼワインブーム”など、ワインに興味がある人なら知識も話題も気軽に楽しく増やすことができる。

 また、著者は欧米のワイン文化のビジネスへの影響も語っている。

欧米でワインが文化として根付いていることを痛感しました。美術や文学などと並び、重要な教養のひとつとして深く生活に浸透しているのです。学校からビジネスシーンまで、さまざまなところでワインの教育が重要視されています。(略)
 ワインの知識は、ビジネスを円滑に進めるうえでの重要なツールであり、高い文化水準を兼ね備えるエリートであるかどうかの「踏み絵」としての役割も果たしているのです。

 本書の前半はフランスとイタリアのワインに絞った構成となっている。ワインの生産者、土壌・農法などを解説し、初心者には十分なワインの知識が身につく内容だ。そして、本文の合間のショートコラム「初心者のためのワイン講座」では、「正しいテイスティングの仕方」「基本的なラベルの読み方」「ワインのビジネスマナー」など、ビジネスパーソンがすぐに活用できる知識を数多く紹介している。

 後半ではワインビジネスの話題のひとつに、近年起きた“全米を揺るがした偽造ワイン事件”の顛末や、目覚ましい品質向上の途上にある「新興国ワイン」の最新事情も取り上げる。1冊のなかに、欧米の一級品から国内の街中の小売店で見かけるワインまで幅広く網羅されているのだ。

 著者の渡辺順子氏は、渡米後にフランスへのワイン留学を経て、2001年から大手オークションハウスのNYクリスティーズで“アジア人初のワインスペシャリスト”として勤務。世界的な富豪や経営者が参加するオークションで、ワインの紹介や指南・指導役として活躍した。2009年の退社後、会社を立ち上げ、日本に欧米のワインオークション文化を広め、アジア地域の富裕層や弁護士向けのセミナーを行っている。さらに2016年には、ニューヨーク、香港が拠点の老舗オークションハウスの日本代表に就任し、日本国内での高級ワインのオークション開催、コンサルティングサービスを行い、ワインビジネスの第一線で活躍中である。

 多くの日本人にとって、昔に比べてワイン自体は身近なお酒のひとつとなった。では、1本のワインが世に出回るまでの奥深い文化やさまざまな背景まで理解できているだろうか。ワインを知ることは、既にグローバルスタンダードの交流において必須の教養になっているのだ。ビジネスパーソンの会話のトピックとして、非常に有益な1冊となるだろう。

文=小林みさえ