お金は貯め込みすぎるな!? お金で苦労しないために知っておきたいこと

暮らし

2018/10/24

『いま君に伝えたいお金の話』(幻冬舎)

「日本では、子どもの頃にお金について教育を受ける機会はほとんどない」と書くのは、『いま君に伝えたいお金の話』(幻冬舎)の著者・村上世彰氏。自身が小さい頃、父親からオープンにお金の話を聞かされていたこともありお金に興味を持ち始め、10歳のときに初めて株式投資を経験したという。現在、投資家として活躍する著者が、子どもにも理解できるよう、簡単にわかりやすくお金についてまとめた本書は「お金の教科書」として読むことができるだろう。

 私たちの生活に当たり前のように存在するお金。しかし、「お金とは一体なんだろう?」と問われると、答えることができる人はどれくらいいるだろうか。その問いへの答えがちりばめられている本書では、お金を以下のように説明している。

・自立して生きていくためには、お金は絶対に必要である
・やりたいことをやるには、余分なお金があったほうがいい
・困ったときに、お金は君を助けてくれる
・君がお金を持っていれば、人を助けることができる

 人は生きていくために、住むところや食べるもの、身に着ける衣服などが必要である。当たり前のことだが、それらを買うためにはお金が必要だ。さらに、趣味に費やすお金、人と付き合っていく上で必要なお金などもあるだろう。病気になって働けなくなったときにも、お金がなくては薬を買うことや入院することもできない。お金とは生きていくために必要不可欠な存在なのだ。また、好きなものを買ったり、好きなことをしたりして、人生をより豊かにするためにもお金が欠かせない。

 著者が父親からの教えで印象に残っているのが「お金は寂しがり屋」だということ。お金は一人でいることが嫌いなので、仲間のいるところへ行きたがる、つまりお金を持っている人のところへお金が集まっていくというのだ。世の多くの人は、それが本当だったら自分はいつまでたってもお金持ちにはなれないと思うかもしれない。しかし、お金に対する意識を少し変えるだけで誰でもお金を増やすことができるのだ。

 日本人には、稼いだお金のほとんどを貯金する人が多いという。一方、海外では、入ってきたお金を投資などで運用する人が多いそうだ。ここで著者が提言しているのが、

・お金こそが、お金を生む卵である
・お金を増やすためには、お金を回す=巡らせること

 ということ。もちろん、まずは稼いだお金を貯めることが前提だが、ある程度貯まったら「貯め込まず」に、お金を「流れ」にのせることが大切だという。預金通帳の金額が増えていくのを楽しみに貯金している人も多いかもしれないが、いったん自分の手元から離すことで増え、また自分のもとへ戻ってくる。本当ならばなんとうれしいことだろう。そうやって増えたお金はまた手放す、というふうにどんどん循環させることで、お金が入ってくる「流れ」が生まれるそうだ。

 お金の回し方として本書で触れられているのが「投資」である。自身が投資家として成功しているにもかかわらず、村上氏は安易に投資を始めることを勧めていない。投資にはリスクがつきものだからだ。彼は小さい頃からじっくりお金と向き合ってきた経験があるからこそ、読者にも何事も自分の頭で考え、物事を数字で捉える癖をつけることを勧めている。

 一方で、本の中では、借金についてのお金の怖い側面についても言及している。お金は正しく使うと自分の味方になってくれるが、付き合い方を誤ると人生を狂わせる可能性もある。なにも、借金がすべて悪いというわけではない。事業を拡大するための資金として借金をする人もいるだろう。大切なのは、自分の身の丈に合った額なのか、きちんと返すことができる額なのかをきちんと考えておくということ。お金とうまく付き合っていければ、手放したお金がより大きくなって自分のもとへ戻ってきてくれるだろう。

 本書では他にも、働き方についてや、価値観と幸せの関係などについての章がある。お金についての話題はなんとなくタブー視されている日本で、ぜひとも多くの人に読んでもらいたい本である。

文=トキタリコ