35歳で歯みがきを変えないと「ボケ」の危険性が! 認知症専門医が教える「脳を守る歯のケア」

暮らし

2018/11/8

『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!』(長谷川嘉哉/かんき出版)

■学校では教えてくれない、「歯のケア」の真実

 学校では教えてもらえないことが、世の中にはたくさんある。そのうちのひとつが、「35歳で歯みがきを変えないと、認知症を発症しやすくなる」ということだろう。

「将来なりたくない病気」として、近年ではがんや肺炎を押しのけて、1位に挙げられるという認知症。その認知症になるかならないかのターニング・ポイントが、「35歳」という若い年齢に、さらに「歯みがき」にあるという指摘は衝撃的だ。

 この説を提唱するのは、『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!』(かんき出版)の著者である長谷川嘉哉氏。これまでに20万人以上の認知症患者を診てきた脳神経内科医だ。認知症と歯の関係にいち早く気づいた同氏は、自身の認知症専門クリニックに歯科衛生士を常駐させている。希望する認知症患者の口の中を、徹底的にキレイにしてもらうためだ。驚くことに、口腔ケアを受けた患者の中には、認知症状が改善する人もいるという。口の中のキレイにすることと、認知症の予防・改善には深い関連があるのだ。

 冒頭でも触れたように、35歳からは認知症予防のための歯みがきを行う必要があるという。一体なぜなのだろう?

■認知症・全身疾患を引き起こす歯周病菌が、35歳から激増!

 あなたは普段、自分の「歯」にどれだけ気を配っているだろうか?

「朝起きたときに、口の中がネバネバする」「1回の歯みがきは3分以下」「歯をみがくと出血することがある」などに当てはまる人は、注意が必要かもしれない。

 毎日2、3回みがいている人ならば、「虫歯にはなってないし、十分みがけているはず」と思っているかもしれないが、歯のケアがおろそかになっていると、虫歯以外にもさまざまな問題を引き起こしてしまう。本書によれば、歯のケアを疎かにすると、歯周病を発症し、その歯周病が“認知症”を引き起こす可能性が高いという。さらに、歯周病は、糖尿病・肺炎・心筋梗塞・脳梗塞などの全身疾患を引き起こす原因にもなるそうだ。

 さまざまな病気の原因となる歯周病菌は、35歳を過ぎると著しく激増する。そのため、35歳からはそれまで以上に徹底した歯のケアを行って、歯周病菌を減らすことが、認知症や全身疾患の予防に繋がるのだ。

■こんなにある! 歯のケアで得られる効果とは

 本書によれば、正しい歯のケアをすると、他にも次のような健康上の効果が期待できるという。誰もが日ごろ気になっていることばかりではないだろうか?

(1)脳が活性化して、ヤル気や記憶力が高まる!
(2)生涯医療費が、大幅に安くなる!
(3)口臭を抑えられる!
(4)何歳になっても、好きな料理が食べられる!
(5)寝たきりを予防できる!
(6)孤独に陥らない!

 それぞれの詳細は本書を参照してほしいのだが、誰もが気になる(2)の生涯医療費は、あなたが100歳まで生きた場合、歯の残存歯数によってはなんと1千万円以上の差がつくこともあるという。歯のケアを行うだけでこれほどの差がつくというのだから、今から始めたほうが、ずいぶん得ではないだろうか。

■あなたのレベル別に「正しい歯のケア方法」を解説

 本書では、上述の効果をきちんと得るために、あなたが行っている1日の歯みがきの回数に応じて、歯のケア方法を説明している。たとえば、「歯みがきは1日1回以下の人」ならばこんな具合だ。

歯みがきは1日1回以下の人
レベル1 「基本ケア」をマスターする
  ステップ1「まずは5分の歯みがき」を習慣にする
  ステップ2「舌まわし」で常に口内を洗浄する!

 さらに、1日2回歯みがきの人には「歯周病ケア」、1日3回の人には「スペシャルケア」をマスターするためのプランが解説されているので、上達してきた人はあわせてチェックしてみてほしい。最初からいきなり「歯みがきの回数を増やせ!」と言われると生活リズムによっては面倒に感じるかもしれないが、普段の生活習慣を変えずに、歯みがき内容を少しブラッシュアップするだけならば、取り組みやすく、しかも続けやすいはずだ。

 本書では、「歯」と「脳」の関係をきちんと解説して踏まえた上で、「歯」の状態がどんな病気をもたらすのか、それを防ぐためにはどんなケアをすればいいのかが語られている。「歯」は、私たちが行うもっとも重要な行為のひとつ“食べる”に直結するもの。そのケアをきちんと行うことは、脳をはじめ全身の健康に影響を与える。そう考えれば、日ごろ目を向けていなかった「歯の健康」に対する意識も変わるだろう。

文=中川 凌