海藻を食べて健康に! 「日本人の体質」から導き出される長寿法とは?

健康・美容

公開日:2018/11/11

『「日本人の体質」研究でわかった長寿の習慣』(奥田昌子/青春出版社)

 赤ワインが身体にいい。こんなことを聞いたことはありませんか? これは、肉やバターなどの動物性脂肪を多く摂取するフランス人が、その割には、心筋梗塞などの心臓病による死亡率が低いとされたことから生まれた言葉です。事実、赤ワインに多く含まれるポリフェノールは、動脈硬化を起きにくくすることがわかっています。

 しかし、日本人が赤ワインにポリフェノールを依存するのは危険だと警告を発しているのが、京都大学大学院で予防医学を学び、内科医として20万人以上の健診の診察にあたってきた人間ドック認定医の奥田昌子氏です。奥田氏は、著書『「日本人の体質」研究でわかった長寿の習慣』(青春出版社)のなかで「日本人は、肝臓でアルコールを分解する力が弱いので、飲酒はさまざまなガンの発症率を上げ、さらに飲んだ量に比例して中性脂肪が作られ内臓脂肪を増やす」と述べています。ですから、ポリフェノールは、ワインではなく、果物や緑黄色野菜などから摂るようにすすめています。

■アジア系人種は、平均寿命が長かった

 アメリカでは多くの人種の人が暮らしているので、人種や民族による体の差異の研究がいくつもあります。奥田氏によれば、最も平均寿命が長いのがアジア系で、86.6歳。次いでラテン系、白人、ネイティブアメリカン、アフリカ系の順となります。

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 アジア系が長寿なのは、動脈硬化が起こりにくいという体質を持つからで、とくに日本人は、それに加え魚をよく食べてきたからだろうと、推測されています。一卵性双生児を比較研究したところ、寿命のうち遺伝子が関与している割合は、わずか16%という結果だったそうです。

■日本人の特異な体質を知って健康長寿に

 本書によると、これまで海藻は、食べてもただ出ていくだけと思われていましたが、日本人は、特殊な腸内細菌のはたらきで、海藻の食物繊維を分解できることがわかってきました。このとき、脂肪を燃えやすくする成分も作られるそうなので、海藻は、日本人には優れた健康食品のひとつといえます。他の国で海藻を分解できる人は、最大でも15%しかいないということですから、海藻をよく食べてきた祖先に感謝です。

 反対に、日本人にとって一番厄介なのは、脂肪を摂りすぎると内臓脂肪が増えてしまうことだと奥田氏はいいます。

 内臓脂肪が蓄積されると、非常に悪い物質が分泌され、それが血糖値を上げ、動脈硬化を進め、脳梗塞や心筋梗塞の発生率を高めます。さらに、この物質は、大腸がん、肝臓がん、すい臓がん、腎臓がん、乳がんなどの発生を促し、認知症を促進するという、最悪の物質なのです。動脈硬化が起こりにくい体質もこれには勝てないようですから、内臓脂肪を溜めないことが長寿の一番の秘訣かもしれません。

 奥田氏は、日本人にとって、長寿をもたらす大事な生活習慣が4つあると述べています。それが何かは本書の「肝」なので、著書をご覧ください。これまでの私たちの健康常識が覆ることでしょう。

文=今眞人