故・雨宮まみさんが惚れ込んだ女子プロレスラー・里村明衣子の「カッコよさ」とは?

暮らし

2018/11/10

『「かっこいい」の鍛え方 女子プロレスラー里村の報われない22年の日々』(里村明衣子/インプレス)

「こじらせ女子」という言葉を生んだ『女子をこじらせて』(ポット出版)の著者・雨宮まみさん。2016年11月、突然の訃報に、多くのファンが涙した。彼女は、生きづらさを抱えながら懸命に生きる現代女性の代弁者だった。

 雨宮さんの死について、「自殺じゃないか?」と勘ぐる人もいる。しかし、そんなことは絶対にない。なぜなら彼女は、ある一人の女性に惚れ込み、本を書こうとしていた。その女性とは、女子プロレスラーの里村明衣子。雨宮さんは生前、里村についてこう書いている。

女は年齢じゃない、人間は年齢じゃない、志と生き方と姿勢で、いつまでも気高くいられる。そういうことを初めて、きれいごとじゃなく心の底から感じて、自分自身も輝きたい、里村さんほどにはなれなくても、何かああいうオーラのようなものを放って、自分に酔いしれることができるようになりたいと思った。里村さんを知って、私は目標というものを得て、少しばかり無茶をしてみたくなったのだ。(「40歳がくる!」)

“横綱”と呼ばれ、技術、パワー、表現力、どれをとっても超一流。「男子レスラーと並んでも遜色ない」と言われるが、里村のプロレスはとても女性らしい。動きの一つ一つが、まさに気高く、優雅で、かっこいい。女性であることの素晴らしさを、彼女はリングの上からわたしたちに訴えかけてくる。女性であっても、いや、女性だからこそ、強く、たくましく生きていきましょう――。里村明衣子のプロレスは、すべての女性への応援歌だ。

 里村のエッセイ『「かっこいい」の鍛え方 女子プロレスラー里村の報われない22年の日々』(インプレス)によると、彼女はコンプレックスを抱えていた。身長157cmという小柄な体型、師匠である長与千種の存在の大きさ……。人とコミュニケーションを取ることが苦手で、いつも人の顔色をうかがってしまう……。

 女性としてのコンプレックスもあったという。20代半ばを過ぎた頃、結婚を意識してお付き合いしている人がいた。「恋愛してる人たちは、こんな幸せを感じてたんだ!」と初めて気づいた。しかし、好きだという気持ちが強すぎて、「メールの返事が来ない」「次はいつ会えるの?」としつこくしてしまい、相手は受け止めきれなくなり、結婚には至らなかった。四十路を前にしても、「恋愛に関しては、恥ずかしながら、いまもなお思春期の中学生みたいなところがある」と綴っている。

 コンプレックスを抱えていた。選手として、センダイガールズの社長として、苦労の連続だった。だからこそ、里村のプロレスは女のわたしたちに勇気と希望を与えてくれる。人生は楽しいことばかりではない。しかしいまを一生懸命生きていれば、里村のように輝ける日が来るかもしれない。雨宮さんもそう思って、明日に向って生きていたに違いないのだ。

文=尾崎ムギ子

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