「営業は体育会系が強い」は間違い!? “売れる営業”は何をしているのか?

ビジネス

2018/12/4

『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』(松橋良紀/大和書房)

 営業と言うと、体育会系のキラキラギラギラした人が巧みな話術で攻めの姿勢で売っていくイメージがある。それは口下手意識の強い筆者のような人間からすると、MP(魔力)がないのに魔術を詠唱して発動させろと言われているくらい高難易度に感じてならない。

 商品やサービスに興味のない相手を捕まえて話をし、購入までこぎつけるなんて、逃げ出したい以外の何ものでもない。営業を得意としている人たちは、いったいどんな頭をしているのか……。正直、常にそう思っている。

 だが、たまに営業職でなくてもそのスキルが必要になることがある。特にフリーランスで働いていると、頑張って良い企画を立てても、自分で売り込まなければ誰にも知られずに終わってしまう。そういう場で「営業スキルがほしい……」と残念な思いをしてきたのは、筆者だけではないはずだ。

 そんなもやもやを抱えていたら、『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』(松橋良紀/大和書房)という本を発見した。表紙にはタイプの違う2人の男性が描かれており、実は一見冴えない方の男性がトップセールスだという説明がなされている。この本は、気合や根性ではなく、心理学のスキルで売る営業の指南書らしい。

 まず、営業というと商品の良さをお客さんに伝えるイメージがあるが、実は営業に必要なのは、話すことよりも聞くことなのだとか。将来の不安や悩みをお客さんに口にしてもらい、結果どんなマイナスが起こるのかを質問で導いていく。そうやって自らの口で語らせて、「その悩みを解決していきましょう」と協力する姿勢を見せると、アポのキャンセル率が大幅に下がるという。

 その際、感情を込めて大きめのリアクションを挟み、商品説明ではなくお客さんのベネフィット(利益)を伝えていく。強いニーズは、損得勘定と直結しているからだ。「こういう損失が生まれますよ」「こういう得がありますよ」という説明に、人は心が動くそうだ。たしかに「損をする」と言われると、購入までは至らなくとも不安な気持ちになって心が揺れたりする。しかしこれがテクニックとして記されていると、なんというか、心理学ってすごいなと改めて感じる……。

 また、営業にはいくつかのステージがあり、各ステージで必要な確認事項を明確にするまでは先に進んではいけないらしい。これを飛ばして最終段階に進んでしまうと、商談に失敗したり、あとからクーリングオフされたりしやすいそう。確認事項を一つひとつクリアしていくことは、断られるのを先まわりで防ぐことに繋がるのだ。

 この『「売れる営業」がやっていること 「売れない営業」がやらかしていること』にはほかにも様々な手法が詳細に説明されているが、共通しているのは、お客さんの不安や疑問、悩みを放置せず、きちんと向き合って、お客さんの心を開いていくということ。やっていることは、ほぼカウンセリングだ。

「話すのが苦手で営業なんて無理」と思っている筆者のようなタイプの人は、まずは人の悩みを聞いてみようくらいの気持ちで挑むといいのかもしれない。企画や提案が通るようになれば、仕事の幅もぐっと増え、より楽しく働けるはず。今まで「営業」という言葉だけで拒絶反応を起こしそうだったが、少し真面目に向き合ってみたくなった。

文=月乃雫