「わが子は受験どうしよう」と思ったら…過熱する中学受験事情

出産・子育て

2018/12/7

『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実(新潮新書)』(おおたとしまさ/新潮社)

 2020年の大学入試改革、グローバル人材育成を意識した英語教育やIT教育など、教育改革が加速している。受験を目指す子どものサポートのために、親はできれば今の受験事情を知っておきたい。

『受験と進学の新常識 いま変わりつつある12の現実(新潮新書)』(おおたとしまさ/新潮社)は、教育ジャーナリストである著者の著作から選りすぐった現代受験事情のベスト盤だ。

 文部科学省の2017年度「学校基本調査」によると、中学受験をしている生徒は地域差があるが、全国平均で8%強にものぼる。過熱する中学受験事情について見てみたい。

 本書によると、現代の中学受験のトレンドとして、主に4つの学校の選択肢がある。

(1)私立中高一貫校
(2)国立中高一貫校
(3)私立大学付属校
(4)公立中高一貫校

 冒頭で触れたが、今、人口減少にある日本では、世界で活躍できるグローバル人材を育てることに躍起だ。これに伴い、国はこれまでのように知識の詰め込みに偏るのではなく、高い思考力を育てる教育へとシフトしつつある。特に公立中高一貫校の試験は「学力試験」ではなく「適性検査」と呼ばれ、グラフから読み取れることを記述する、ほとんど自由作文のように考えを書くなど、思考力をはかる問題が多い。

 本書は、首都圏中学模試センターの「思考コード」を掲載している。欧米で取り入れられているこのコードは、「記憶」「理解」「応用」「分析」「評価」「創造」という認知過程を一つの次元軸にとり、もう一つの次元軸に「事実的認識」「概念的知識」「遂行的知識」「メタ認知的知識」という知識をとる、縦横2軸を掛け合わせた教育目標の表現方法であると説明している。日本においてもこの概念が取り入れられつつあり、前述の首都圏中学模試センターの各種模試では、4教科の各設問が思考コードのどの領域に該当する問題なのかが分類されている。

 思考コードについて長々と説明しても、イメージが伝わりにくいかもしれない。例えば、フランシスコ・ザビエルに関する問題を例にとってみると、次のようになる。首都圏中学模試センターでは縦軸が上にいくほど知識の難易度が上がり(1=単純、2=複雑、3=変容)、横軸を右にいくほど知識の活用力や表現力が上がる(A=知識・理解思考、B=論理的思考、C=創造的思考)。

 1A領域の問題では「(ザビエルの写真を示して)この人物の名前を答えなさい。」だが、縦軸を上にいき2A領域の問題では「ザビエルがしたこととして正しい選択肢をすべて選びなさい。」、さらに3A領域の問題になると「ザビエルがしたこととして正しい選択肢をすべて年代の古い順に並べなさい。」となる。

 同様に横軸を見ていくと、1Bでは「ザビエルが日本にきた目的は何ですか? 50字以内で書きなさい。」、右にいって1Cでは「もしあなたが、ザビエルの布教活動をサポートするとしたら、ザビエルに対してどのようなサポートをしますか。200字以内で説明しなさい。」となる。

 出題される問題にはこのように知識にレベル差があり、思考力にも深さの程度差がある。そして、近年の受験では難関校ほどA2・A3・B2・B3領域の出題が多く、中堅校ではA1・A2・B1・B2領域が主体となり、適性検査を設ける公立中高一貫校ではB1・B2・C1・C2領域と高い思考力を求める問題が増える。

 公立中高一貫校人気が高まっている。思考力を問う問題が多い適性検査をパスするためには、情報の読解や知識の活用、表現に加えて、「自分ならどうするか」という論理的思考が重要となってくる。

 受験勉強に打ち込む子どもにとって、受験事情を知り尽くした親のサポートは受験突破のための強力な推進剤になるはずだ。

文=ルートつつみ