「ほめる力」でコミュニケーション力アップ! 誰でもできる目からウロコのほめる極意

暮らし

2019/1/8

『お客様の心をつかむ 魔法のほめ言葉事典』(仲亀彩/秀和システム)

 日常生活の中で、最近いつほめられただろうと思い返してもなかなか思い出せない。家庭や職場、友人と会うときなど、私自身誰かをほめた記憶もあまりないのだ。ほめられて嫌な気分になる人はいないだろう。人間関係を円滑にするためにも、「ほめる」技術があれば向かうところ敵なしだ。しかし、日頃からほめ慣れていない人にとって、誰かをほめることは結構ハードルが高いのではないだろうか。目に付く点を片っぱしからほめていっても、的を射ていなければ場がしらけてしまうだけとなる。

 そんなほめ慣れていない人にぜひとも手にとってもらいたいのが『お客様の心をつかむ 魔法のほめ言葉事典』(仲亀彩/秀和システム)だ。本書の著者は、外資系一流ホテルのレストランでカウンターシェフを務める仲亀彩氏。世界中から訪れる客を相手に、日々カウンター越しにほめ言葉を駆使してコミュニケーションをとっている「ほめるプロ」なのだ。

我々の仕事は料理の提供ですので、調理技術の向上や、その他諸々の接客スキルももちろん大切です。でも、あえて1つに絞るとすると、「ほめる」ことが、すべてのおもてなしの基本になっていると私は思っています。
(中略)
「ほめる」はグローバルスタンダードな、人とのコミュニケーションの基本なのです。

 実際に長年経験を積んできた人の言葉には重みがある。しかし、彼女自身高校生まではひどい人見知りで、話しかけられても一言も返せない時代があったという。転機は15歳から始めた飲食店の接客だったそうで、接客ノートをつくり客の特徴やほめるポイントなどをまとめたことだったと話す。慣れない間は、とにかくほめ言葉のボキャブラリーを増やし、実際に使ってみることが一番だそう。繰り返し練習して身につけさせるとは、まるで筋トレのようだと感じた。

 本書では、「身につけているものをほめる」「顔まわりをほめる」「身体的特徴をほめる」「行動・性格・雰囲気をほめる」などのように、シーンごとにほめ方が紹介してあるので、まさに事典のように必要な箇所を選んでさっと読むことができるのもうれしい。身につけているものをほめるの項では、財布や名刺入れ、鞄、スーツ、靴、時計など、日頃から使用するアイテムについてのほめ方が伝授されている。たとえば、財布をほめる場合は、財布自体の「デザインが素敵」という以外にも、機能性に着目して「使い勝手が良さそう」や、長年使用していることがわかる財布には「長く愛用されているのがわかります」など、いろんな視点からほめることができる。

 では、スーツのほめ方を見てみよう。

・「〇〇さんのスーツ姿は、いつもビシッとキマッていますね」
・「スーツ、新しくしましたか?とってもお似合いです」
・「〇〇さんのジャケット、裏地とのコントラストがおしゃれですね」
・「今日はパンツスーツですね!いつもと印象が変わって、それもまたいいですね!」

 スーツひとつとっても、いかに多くのほめ方があるかがわかるだろう。ものの見方を変えれば、ほめるポイントはいくらでも見つかるということのようだ。

 また、一見マイナスポイントと思える点も、見方を変えるとほめるポイントになるという。著者は、体格的に太めの人をほめる場合、「貫禄がある」「頼りになりそう」「雰囲気が柔らかい」などのほめ言葉を使うそうだ。たしかに、これらの言葉をいわれても嫌な気分にはならないだろう。「痩せているほうが素敵」という固定観念を捨て去ることで、新たな魅力を発見できるのではないだろうか。

 著者はまず、相手の良いところを見つけ、それを素直に伝えることが大切だと説く。良いところを見つけるためには、相手に関心を持ち、よく知ることが必要なのだ。また、慣れない人がいざ大事な場面でほめようと思ってもすぐに言葉が出てこないので、日頃からほめることを習慣にしておくといいという。まずは、身近な家族や友人をほめることから始めてみてはどうだろう。ほめる技術を身につけて、円滑なコミュニケーションが図れるようになる日もそう遠くないはずだ。

文=トキタリコ