なぜ英語のつづりと発音は一致しないのか?

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公開日:2019/1/25

「英語の発音がうまくできない、覚えられない」と感じたことはないだろうか。さらに、「そもそも、なんでつづりと発音が違うの?」と思ったこともあるかもしれない。「英語のつづりと発音の違い」について、スタディサプリの人気講師・関正生氏による解説を見てみよう。

●大昔はつづりと発音は同じだった

 まず、大昔の英語では単語のつづりと発音は同じ。つづりをそのまま読めばOKだった。たとえばnameは「ナーメ」、stoneは「ストーネ」のように。さらに、時代や流行で発音が変わっても、それに合わせてつづりも変えていったので、発音とつづりは一致していたのだ!

●「大母音推移(だいぼいんすいい)」と「印刷技術の発明」

 ところが、15世紀から16世紀にかけて、「大母音推移」という歴史的な現象が起きた。これは「母音の読み方が大きく変わってしまった」現象(なぜ起きたかはいまだに不明)。

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name 「ナーメ」→「ネイム」
stone 「ストーネ」→「ストウン」

 そして偶然にも、この発音の劇的な変化と同時期に「印刷技術」が発明された。印刷できるということは文字が活字になる、つまり「つづりが固定化されてしまう」ということを意味する。それまでは発音の変化に合わせてつづりも変えていたが、気軽に変更できなくなったのだ。

 一方で、印刷技術でつづりが固定されたのに、大母音推移によって発音はどんどん変わっていった。これにより、つづりと読み方に大きなギャップが生まれ、現在に至る

●26文字しかないアルファベットの工夫

 日本語は50音のほかに「漢字」まである。「英語は26文字しかないからラクだ」と思っている人もいるかもしれない。しかし、もし漢字がなくなったら大変なはずだ。

 たとえば「おかんがはしる」。
「悪寒がはしる(「ゾクゾクと寒気がする」という意味)」で使う人がほとんどだろうが、読み方によっては「オカン(母)が走る」と読めてしまうかもしれない。このように漢字を使わないと、文章を読むのに苦労してしまう。

 さらに、アルファベットは26文字しかないからこその苦労もある。だから、26文字を組み合わせていろいろな音を作り出した。たとえば“c”と“h”をくっつけて化学反応を起こし、「ク」や「チ」と読むルールを作った。

・chで「ク」と読む(例:school)
・chで「チ」と読む(例:watch

 このように、「大母音推移」や「印刷技術の発明」のような歴史的な背景、そして26文字しかないからこそ生まれた工夫によって、つづりと発音にギャップが生まれたのだ。

 1月19日に発売された『中学英語のさきどりが7日間でできる本』(KADOKAWA)は、ひとつひとつ納得しながら勉強でき、小学生のうちから「英語の考え方」を学べる参考書。スタディサプリの人気講師・関正生氏の監修のもと、最初から本質を学べる仕掛けが散りばめられている。

 何事も最初が肝心。気持ちのいい中学のスタートダッシュがきれれば、その後の英語学習も絶対に楽しく続けられるはず。小学生のお子さんがいたり、中学英語を復習したいなと思っている方に、注目してほしい。