嫌われるのが怖い女性へ 「残酷な天使のテーゼ」作詞家が教える、生きづらさへの対処法

暮らし

公開日:2019/2/24

『誰かが私をきらいでも』(及川眠子/ベストセラーズ)

「人から嫌われるのはイヤだ」「何の才能も取り柄も持っていない」「誰かに対して嫉妬や怒りの感情を抱きやすい」…あなたは、自分に対してそんなことを思ったことがないだろうか?

『誰かが私をきらいでも』(ベストセラーズ)の著者は作詞家の及川眠子(おいかわ・ねこ)氏。アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」「魂のルフラン」などの作詞をした人物だ。本書『誰かが私をきらいでも』は、誰もが持つ「生きづらさ」に対して、それを解消する方法を及川氏の言葉で教えてくれる本だ。

自分が100人の人(学校に例えると3クラス分くらい)を全員同じように好きになることができないように、100人全員に好かれることはできない。

 これは「人に嫌われるのが怖い」という人へ向けての著者の言葉だ。誰でも、人に好かれればうれしいし、周りの人にはなるべく高く評価してもらいたい。全員に好かれることはできないとわかっていても、いざ誰かに嫌われたら無傷でいられる人は少ないだろう。けれども、その恐怖がもし拭えたとしたら世界は変わってくるに違いない。著者はまた、こう語る。「100人の中には敵がいる。でもきっと味方もいる」。自分が全ての人を好きにならなくてもいいように、全ての人に好かれようとする努力もしなくていいのだ。

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 いざ自分らしく生きていこうとしても、「私には何もない」「好きなことが思いつかない」という人もいるだろう。周りに合わせて生きてきたがゆえに、自分の頭で考えることが苦手なのだ。そうすると「私はこれを大事に生きている」「私の武器や才能はこれだ」と言えるものもない。

 著者は、そんな人のことを「空っぽ」な状態と呼ぶ。「空っぽ」であるならば、詰め込めばいいのだ。頭の中へ何でもかんでも詰め込むと、それが知識になる。読書、映画鑑賞、人との会話をとにかくたくさんし続けると、そのうちに「これはわかる」「これは違う」ということがわかってくる。自分が好きなもの、嫌いなものも見えてくる。それらが「考える」ということに繋がるのだ。

 自分という像を確立すると、人を羨むときの内容も変わってくる。それまでは自分に自信がないから、成功している人が憎らしく思える。けれども、ひとりで考えて行動できる自分のことを好きになれると、「あの人はすごいなあ」と思ったとしても、それで終わりだ。わざわざ自分の評価を落として卑屈になることはなくなる。

 著者は「“みんな仲良く”の呪いは断ち切っていい」と語る。みんなに合わせる、みんな仲良く…そんな教育を受けてきたが、大人になり自分の足で生きていく必要のある今、わざわざ合わない人と付き合って自分を殺すことはない。

 嫌いな人の中に好きな部分を見つけようとがんばるよりも、「好きな人に出会えば嫌いな人も出てきて当たり前」だと考えよう。自分が強く生きていくためには、自分自身を好きになれる環境作りが必要。「誰かが私を嫌いでも当然だ」という気持ちで、自分の強みを育てていくほうがきっとその先幸福を感じられることだろう。

文=ジョセート