結婚は「愛」のため! がんじがらめのシングル女性を救うパリ流「幸福追求」バイブル

恋愛・結婚

公開日:2019/3/4

『“結婚”をやめたパリジェンヌたち』(酒巻洋子/産業編集センター)

 現在日本、特に東京で増加する、アラサー&アラフォーの未婚女性。安定した収入があり、プライベートも充実。今を目一杯楽しんでいるように見える彼女たちだが、その実悩みや不安も多い。

 例えば子供。いくら医学が進歩しても妊娠できるタイムリミットは刻々と迫ってくる。今欲しくなくても、もし欲しくなったら? 結婚と子供が直結していて、選択肢の少ない日本では、「独身」を選ぶことはまさに自分の「行く末」を限定することになってしまう。

 そこに追い討ちをかけるのが親だ。「いい年なんだから」と直接攻撃はもちろん、「◯◯さんも結婚したよ」「××さんは子供が2人だって」と、同級生情報のさりげないプレッシャー。結婚の話題に触れそうになったときの、周りのいらぬ気遣いにも疲れるし…。将来への不安、世間の目、さまざまなしがらみや悩みに、シングル女性はまさにがんじがらめの状況だ。

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 パリジェンヌに直接取材、その本音をつづった『“結婚”をやめたパリジェンヌたち』(酒巻洋子/産業編集センター)にも、現役の独身女性たちが多数出てくる。フランスといえば先進国のなかでも出生率の高さが際立つ。

 さぞ家族連ればかりの国だろうと思うと、首都であるパリの状況は東京とほぼ変わらない。単独世帯は総世帯の半数を占め、出生率も1.56。著者のいうとおり「おひとりさま」の都なのだ。「個人主義の国だもの。好きに生きられるんだろうな」と思ったらそうでもない。日本と同じように「世間体」が存在し、「独身」であることは個人として不完全だ、という偏見が、根強くはびこっている(!!)。未婚のパリジェンヌに対する社会の目は(そして家族からのプレッシャーは)、日本と同じように厳しいのだ。

 それなのにこの本に登場する独身女性たちは、とても軽やか。開放感に満ちている。その基盤は「完全な経済的自立」と「社会的地位」。それと何より、結婚は「愛」のためにする、という信念だろう。「愛している、この人とずっといたい。だから結婚する」のであって、愛がなくなったら離婚する。結婚が人生のすべてじゃないのだ。

 子供はタイミング重視だ。「一緒に子供を作りたいと思う相手が現れ、出産ができる環境が整ったら」妊娠、出産する。フランスには事実婚、結婚、そして「パックス」と呼ばれる結婚と事実婚の間のような制度と、さまざまなカップルの形態が社会的に認められている。そしてそのどの状況で子供をもうけても、社会的には差がまったくない。まず子育て、それで、2人の愛が続けば「結婚」という形態へ移行するし、愛がなくなったら別れる。え、子供は? 別れても親権は両方が持つので、負担が片親だけに負わされがちな日本に比べ、離婚へのハードルは低い。それに子供には「幸せでいる母親と、幸せでいる父親をそれぞれの側でみせるべき」。この前向きな思考!

 子供にとって、母親(もしくは父親)が他のパートナーと暮らす姿をみることは、ある意味微妙だろう。勝手な親だと思うかもしれない。けれど、「人は人、自分は自分」だ。親は親の幸福を追求し、子供も子供で自分の幸福を追求すれば良いのだ。「自分に対して徹底的に素直」これこそがパリジェンヌの「軽やかさ」の秘密だろう。

 国の社会制度も、考え方も違うパリジェンヌ達。彼女達の生き方をそのまま日本で実践するのは難しい。しかし、パリジェンヌの「圧倒的な素直さ」は見習ってみても良いかもしれない。しがらみも悩みも、結局「世間」と「自分」が対立するから生まれるのだ。「人は人、自分は自分」と、嫌なことは聞き流し、それでもふっと心が弱くなった時はこの本をひもといてみよう。どんな状況でも前向きに、そして軽やかに自分を表現するパリジェンヌたちの言葉に触れられる。バイブルのように、いつもそばに置いておきたい1冊だ。

文=川嶋 由香里