睡眠時間が短いと早死…それって根拠ある?ショートスリーパーが睡眠のウソ常識を暴く!

健康・美容

2019/3/9

『睡眠の常識はウソだらけ』(堀大輔/フォレスト出版)

 1日の睡眠時間を「平均45分以下」しか取らない男がいる。社団法人日本ショートスリーパー育成協会代表理事の堀大輔氏だ。彼はかつて8時間睡眠をしていたが、7年ものあいだ独学で睡眠の研究をし、独自の睡眠理論「Nature sleep」を編み出した。『睡眠の常識はウソだらけ』(堀大輔/フォレスト出版)は、そんな彼が睡眠にまつわる今までの常識を打ち破る1冊だ。

「睡眠負債」という言葉は、2017年のユーキャン新語・流行語大賞のトップテンにランキングされた。「睡眠不足が蓄積するとあらゆる不調を引き起こす」というものだ。しかし、著者によると「自分には睡眠負債がある」「もっとしっかり寝なくては」と怯える心がかえってストレスになってしまうという。

 著者はショートスリーパーではあるが、無理な睡眠時間の短縮を推奨したり、睡眠の気持ち良さを楽しむことを否定しているわけではない。その上で「万人に共通の最適な睡眠時間など存在しない」と断言する。世界で数々の睡眠神話を生んだデータには、古かったり偏ったりしているものが多いそうだ。また、医療の側が不安を煽ることで利益を得ようとしていることも考えられるという。

 本書はそんな睡眠の常識を次々に打ち破っていく。たとえば、日本で行われたある調査では「7時間睡眠の人が最も長生きした」という結果が出た。この結果は見た目が分かりやすく、もてはやされた。しかし、この調査を行った教授はより精度の高いデータを出すために持病などのイレギュラーな要素をできる限り排除して計算した。すると男性については4時間以下睡眠の場合が最も死亡リスクが低くなるという結果が出た(これを基に短眠だと長寿になれるという主張をしたいわけではないと著者は注釈する)。

 この調査をした教授は以下のような見解を示した。「睡眠時間が短い人や長い人が7時間寝るようにすれば死ににくくなるのかは不明」「それを調べるなら、いろいろな睡眠時間の人を集め長い間観察し死亡状況を調べることになるが、現時点ではそこまでするほど確実に誰にも7時間睡眠が良いと考える根拠はない」というものだ。著者によると、睡眠の最先端研究機関でさえ、睡眠の持つ本当の意味がわかっていないという。

「睡眠への不安」というものは人を余計マイナスな方へ誘う可能性もある。テレビなどを見て「普段、睡眠が足りていないのでは」「このままでは不健康になる」「長く眠らなくては」という強迫観念で、生活に満足できなくなることもあるだろう。考えに囚われて焦ってしまう人は、今一度それが本当に情報として自分に価値をもたらすものなのか調べてみてはどうだろうか。生活習慣をいきなり全て改めようとはせずに、少しずつ変えていくのが適切だろう。個人の睡眠の形というのはもっと柔軟にあっても良いのかもしれない。

文=ジョセート