成功の秘訣は「許され力」!? ビートたけし、浜田雅功に共通する“かわいげ”とは

ビジネス

更新日:2019/4/4

『「かわいげ」は人生を切りひらく最強の武器になる』(久田将義/CCCメディアハウス)

 自分は上司にこっぴどく怒られるのに、同僚のアイツはなぜか「しかたないなァ。次は気をつけろよ」で済まされる。飲みの席でも、同じような失敗をしても、アイツは許される…。自分とアイツは、どこが違うのだろうか。できれば自分も、そんなナニカを身につけたい。

 こう考えている人にとって、朗報となるかもしれない。ナニカの正体。それは「かわいげ」かもしれない。

 男性向け処世術本『「かわいげ」は人生を切りひらく最強の武器になる』(久田 将義/CCCメディアハウス)は、「かわいげ」の体得を勧めている。世を上手に渡る術としてだけではなく、今からデカいことをやりたいという野心家にも役立ちそうだ。

advertisement

 私達は「かわいげがある」「ない」とよく口に出していうものの、さて、「かわいげ」とは何なのだろうか。本書はズバリ、「人間的魅力のひとつ」としている。

 本書は、「かわいげがある」著名人としてこのような方達を挙げている。ああなるほどなぁ、と思ってもらえるだろうか。

ビートたけし、浜田雅功、辰吉丈一郎、北の富士勝昭、石原慎太郎

 ここに、ジャニーズは入らない。本書は「かわいい」と「かわいげ」は厳密に区別している。かわいげがある人になりたければ、まず、「かわいい」と「かわいげ」が別物だと認識したい。むしろ、かわいくなくても「かわいげ」のある人になれる。誰にでもチャンスがあるのだと喜ぶべきか。

 本書は、著名人ごとのかわいげポイントも紹介している。

 例えば、先に名前が挙がったビートたけし氏。氏は、自らがMCを務める番組で、出演者である某ライターを、本番前に散々怒った。週刊誌で悪く書いておいて、よくオイラの番組に出られるな、ということだ。しかし、これはビートたけし氏の勘違いだった。悪く書いたのは、別のライターだったのだ。そして番組本番。ビートたけし氏は、「参っちゃったよ、◯◯さんに悪いことしちゃってさ」と平身低頭。潔いまな板の上の鯉状態が、本書が述べるところの「かわいげ」なのだ。

 本書は、かわいげがある人を観察して導き出した「かわいげしぐさ」を33パターン、収めている。そのひとつに、「失敗してもバカ正直である」という項目がある。寝坊をして会社に電話をする。上司が出る。そこで、「二日酔いなので休みます」とバカ正直に言う。上司は「バカもん!」と叱るものの、腹の中を露出しまくりな部下に、「仕方のないヤツだ」とかわいげを感じる(ここで本当に休ませてくれるかどうかは別)。

「ここぞのときには男涙を見せる」という項目もある。女の涙は武器である。しかし、面前で正直な男涙を見せるのも、武器になるかもしれない。

 本書は「かわいげ」を研究した結果、7つの法則を見つけた。お察しのとおり、そのひとつが「素直さ」である。本書は「守りの姿勢を捨てること」と述べている。『あしたのジョー』の矢吹丈が見せた、ノーガード戦法。両手をぶらりと前にすると、相手は「こんな無防備なヤツに、攻撃を仕掛けていいのだろうか」とひるむ。自らを無防備にさらけ出して相手の隙を生む。これが、かわいげの人になるひとつの方法なのだ。本書は、自分が強いように見せるより、何倍も効果的な処世術だとしている。

 歴史上の有名人の中にも、かわいげを武器にのし上がった人がいる。

「生れて、すみません。」

 そう、あまりにも有名なこの言葉を生んだ、文豪・太宰治だ。太宰は大金持ちの家に生まれ、東京帝大に進学した秀才だ。本書いわく、「生れて、すみません。」の卑小さとは縁遠いスーパーリア充である。生来の資質とまったく違うセルフイメージをつくり上げたことで、太宰は人(特に女性)に好かれた。意外性があるところにも、かわいげは生まれるのだ。

「男がかわいげなんて」と思っている方にもぜひおすすめしたい1冊だ。

文=ルートつつみ