相手を励ましたいとき、言葉で安心させるならこんな「ひと言」! できる大人のテクニック集

ビジネス

更新日:2019/4/9

『できる大人は「ひと言」加える』(松本秀男/青春出版社)

 いつもの挨拶や決まり文句に「ひと言」をプラスすることで、人生を変えた人がいる。これは大げさな話ではない。『できる大人は「ひと言」加える』(松本秀男/青春出版社)の著者は、歌手・さだまさし氏のマネージャーを務めたのちに、家業のガソリンスタンド経営や外資損保会社での営業を経験し、現在は「ほめる達人(ほめ達!)」として講演や研修講師活動を行う、「言葉を届けるプロ」である。本書は、その「ひと言」プラスする技を70ものエピソードとともに紹介する1冊だ。本稿ではその中から一部を紹介していきたい。

■できる人と残念な人の「最初のひと言」はどう違う?

 たとえば、あなたが住宅リフォーム会社のショールームに勤めているとする。そこに初来店と思われるお客様がやってきた。そこで、挨拶に続けて最初にかけるべきひと言はどちらだろうか?

(1)今お住まいのところで、何かお困りのことはありますか?
(2)こちらは新素材を使ったキッチンです。撥水性の特徴がありまして…。

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 正解は(1)。お客様はただ商品がほしいのではなく、解決策を欲しているからだ。何らかの困りごとを抱えているお客様に、いきなり商品の宣伝を始めてしまっては体よく断られてしまうのがオチだろう。まずはお客様の心の扉を開くことから始めていきたい。

■“これは使える”と思ったら徹底的に「TTP」!

 著者の同僚に、いつも気分を良くしてくれるようなメールを送ってくれる人がいたという。それは以下のようなものだ。

【感謝やうれしさの気持ちを、ひと言プラスする例】
「ものすごく元気がでる企画ですよね」 「支店のみんなもきっと喜ぶと思います」

【人や仕事の貢献ぶりを、具体的に示す例】
「佐藤さんの業務の進行具合について理解するのにものすごく役立ちます」

 なお、著者はこれらの「いいな」と思った技を、素早く「TTP」するのだという。TTPとは、「徹底的にパクる」の略。大切なのは、表面的にかっこいい言葉ではなく、地味でもベタでも、自分の体温がふっと上がったなと感じられた言葉をまねることだという。私たちのまわりにも、探せばお手本はたくさんありそうだ。

■「温度のある言葉」が相手の心を温める

 あの人、最近ちょっと元気がないな…という人に対しては、「言葉の温度が伝わる言い方」が効果的なのだという。言葉の温度が伝わる言い換えは、こういったものだ。

「ご飯、ちゃんと食べてね」→「ご飯、温かいうちにちゃんと食べてね」
「お風呂に入ってね」→「お風呂に入って、温まってきてね」

 温度のある言葉を使われると、温かいものを食べたり、温かいお風呂に入ったりする様子を思い浮かべて、心もほぐれるのだろう。仕事でも、「熱さを感じる企画だね!」とか、直接的に温度を示す言葉でなくても、「わくわくするね」とか「盛り上がってきたな!」など、熱量が伝わるひと言をプラスすることで、相手の心を温めることができそうだ。

 言葉は、使い方によっては毒にも薬にもなるという点で、食べ物と似ているかもしれない。食べ物は体に届くが、言葉は心に届く。それは直接会って話すという手段だけではなく、メールなどの文字のみのやり取りでも実現可能だ。本書で惜しみなく語られるテクニックを取り入れ、相手にとっても自分にとっても、新生活をより元気なものにしていこう。

文=水野さちえ