地雷女&粘着男に追い詰められる! “不倫の真のヤバさ”を描く『蜜と毒~逆恨みの復讐』が怖すぎる……

マンガ

更新日:2019/4/20

『蜜と毒~逆恨みの復讐』(柏屋コッコ/双葉社)

 大人になって、いくつかわかったことがあります。そのうちのひとつは、世の中、ホントに「ごめん」で済んだら警察はいらないということ。そして、おおっぴらに人に言えない行いは簡単に、警察でも解決できない事態に発展してしまうのだということ……!

 電子コミックで爆発的にヒット中の本作、『蜜と毒~逆恨みの復讐』(柏屋コッコ/双葉社)の主人公・小坂マチコも、そんな事態とは縁遠い、普通の主婦──のはずだった。

 マチコは、愛する夫・亮平と、ふたりの子どもと幸せに暮らしている。子どもたちに手がかからなくなったころ、かつての職場からお呼びがかかり、仕事に復帰することに。だが、そんなマチコの身辺に、小さな異変が起こりはじめる。

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 朝から不快な思いをするマチコだが、職場に行ったところで状況はあまり変わらない。古参の女性社員たちに陰湿なイジメを受け、心が休まることはなかった。そんな職場での唯一の癒しは、年下の同僚・大塚の存在だ。

 若く美しい彼女、優梨子の身体から香るのは、男子が女子につけてほしいと人気の香水。そして、あろうことか、その夜帰宅した亮平の身体からは、同じ香りが……。

 亮平の浮気を確信したマチコは、嫉妬に狂いそうな心を必死でなだめる。自分ももう38歳だ、女であることを忘れて何年も経つ。亮平とも、恋人時代のような甘い雰囲気はまるでなく、すっかり家族になってしまった。だが、その亮平に裏切られたのだ。“家族”とは、いったいなんなのだろう──?

 はい、W不倫成立です。これまでの不倫モノなら、ここからしっとり道ならぬ恋の行く末を描くところですが、このマンガの味はここから!

 夫婦は改心、家族としての愛を再確認する。けれど、そんな都合のいい展開を、元不倫相手たちが許すはずはない!

 マチコと亮平の絆が深まるほどに、大塚と優梨子の病みっぷりは加速。別れ話を切り出そうにも、リストカットにオーバードーズ常習犯の“地雷女”優梨子は、亮平の取引先の社長令嬢だ。会社にバレたら、一家で路頭に迷ってしまう。一方の大塚も、普段は温厚で忍耐強いぶん、キレるとしつこい“粘着男”。下手に刺激できたものではない。

 1巻ではまだ、当事者間、生活圏内で起こっていた後始末の駆け引きも、2巻では周囲を巻き込み、旅先まで拡大。振っても逃げても冷たくしても、憎しみに変わった愛は止められない。どうするマチコ、どうする亮平? 愛する伴侶を、子どもたちを守り切ることができるのか? 不倫の恋に身を堕とすなら、恐ろしいのは慰謝料請求なんかじゃない。どす黒く煮詰まった、みずからの撒いた愛の残滓だ──!

 既婚者ながら、ちょっとイイ感じの彼/彼女がいるというアナタ、本作を一読してからでも、決断は遅くありません。一線を越えるならそれなりの覚悟が必要だということ、身にしみて理解できると思いますよ。

文=三田ゆき

©柏屋コッコ/双葉社