安売り合戦に参入してはいけない理由を解説! 物販・輸入ビジネスを成功させる鉄則

ビジネス

公開日:2019/4/25

『価格はアナタが決めなさい。輸入ビジネスに学ぶ儲かる仕組み』(大須賀祐/集英社)

 サラリーマンの副業、兼業時代がゆるやかに幕開けしつつある中、モノやサービスの販売ビジネス、あるいは自分が好きな分野の商品を外国から買い付ける、輸入ビジネスを考えている人も多いだろう。

 そんな人たちにぜひ手に取っていただきたいのが、『価格はアナタが決めなさい。輸入ビジネスに学ぶ儲かる仕組み』(大須賀祐/集英社)だ。

 本書は、ジェトロ(日本貿易振興機構)認定貿易アドバイザーの肩書を持つ著者による、物販ビジネスにおける「儲かる価格設定の考え方」(前半)と、「成功する輸入ビジネス・ノウハウ」(後半)をぎゅっと凝縮してまとめた1冊だ。

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 前半の価格設定の考え方は、あらゆるビジネスに共通するもので、モノやサービスを売っていこうとする人であれば、企業の一社員でも、個人として事業に取り組んでいる人でも、学んでおいて決して損はないメソッドが記されている。

 後半部分では、輸入ビジネスを始めるための基本のステップ、注意点、戦略などがわかりやすく記されているため、これから輸入を手掛けてみたいという人には、大いに参考になるアドバイスが満載だ。

■ビジネスで必ず儲かる「粗利率」は、何パーセント?

 では、物販ビジネスにおける「儲かる価格設定」は、どのようなステップで考えていけばいいのだろうか。著者のアドバイスはとてもシンプルだ。

 まず念頭に置くべきキーワードは「粗利と粗利率」だ。粗利とは、売上から原価を引いたもの、「売上-原価=粗利」となる。例えば、商品価格が1000円で原価が300円なら、1000-300=700円が粗利である。粗利率は「粗利÷売上高」で求められるので、700÷1000=0.7で、70%の粗利率となる。

 この粗利率70%が、物販・輸入ビジネスでは目標にすべき指標となるため、著者は「粗利率70%以下のビジネスはやってはいけない」と記している。

 その理由は、粗利率が下がれば下がるほど、薄利多売するしかなくなり、低価格路線で個人が大手企業に対抗していくのは至難の業だからだ。

 つまり、「価格は、粗利率が70%以上になるように決めること」が、本書の語る鉄則だ。その結果、仮に設定価格が他の類似商品に比べて高くなったとしても、価格を相場に合わせるのではなく、「高くても売れるようにする」ために付加価値をつけていくような、商品をブランド化する方向で考えるほうが得策だという。

 そのためにどのような工夫や仕組みをつくればいいのかは、本書に詳しいので、ぜひ参考にしてほしい。

■輸入ビジネスをスムーズに始めるための5ステップを紹介

 こうした価格設定が、より自由に自身の裁量で決められるのが「輸入商品」だ。そして著者が勧める輸入ビジネスは、BtoB、つまり対企業ビジネスである。

 なぜBtoC(消費者向け輸入販売)ではないのだろうか? その理由は、各消費者への発送や個別対応業務などの雑多な作業がないため、利益を出しやすいからだという。

 では、個人もしくは小規模会社で、どう輸入ビジネスを始めればいいのか。著者がガイドするのは、以下の5ステップである。

(1)海外で開催される見本市をまわり、輸入したい商品を見つけ出す。
(2)気に入った商品があれば、担当者と輸入販売に関する交渉をし、可能であれば日本での「独占販売権」を得る。
(3)商品サンプルを送ってもらう。
(4)そのサンプル品を持って日本で開催される見本市に出展し、国内企業のバイヤーに見せて販売契約を結ぶ。
(5)日本企業の顧客が見つかったら、海外メーカーとも正式契約をしてビジネスを始める。

 著者によれば、商品とビジネスパートナー探しは「国内外の見本市を有効活用すること」が重要。そして、海外メーカーとの交渉では、不必要にリスクを背負わないように慎重に進め、「日本での独占販売権を得ること」が肝心。さらに、「自分が情熱を注げる、愛せる商品を扱うこと」が、最終的に輸入ビジネスを成功させるカギになるという。その他さまざまな輸入ビジネスのメリットや注意点は、ぜひ本書でご確認いただきたい。

 著者が強調するのは、日本市場と日本からのバイヤー(仕入れ担当)は、世界の見本市において一目置かれるステイタスにあるという点だ。そのため、個人や小規模会社だったとしても、商談にこぎつけるハードルは高くないそうだ。

 これから物販、もしくは輸入ビジネスをやってみたいと思う方は、著者の非常に簡潔でわかりやすいアドバイスを参考に、チャレンジしてみてはいかがだろうか。

文=町田光