子どもの噛む力は知能・運動能力に直結する! 効果的なトレーニングで対策を

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2019/5/23

『子どもの知能と身体を発達させる噛む力』(増田純一/WAVE出版)
『子どもの知能と身体を発達させる噛む力』(増田純一/WAVE出版)

 教育熱心な親ほど、「よく噛んで食べなさい」が口癖になっているかもしれない。よく噛むと脳の働きが良くなることは、広く知られている。同時に、ぽかんと口を開けているわが子の見た目が気になり、「口を閉じなさい」とも。特に子どもの受験で面接を控えていると、親の目はどうしても厳しくなる。

 実は噛むことと、口元がしまらないことは、繋がっているそうだ。『子どもの知能と身体を発達させる噛む力』(増田純一/WAVE出版)によると、近年、きちんと噛めない子どもが増えてきている。歯並びが悪く、正しい噛み方ができない子どもは、口がぽかんと開いたままの状態が多く、むし歯や扁桃腺肥大、風邪などの感染症にかかりやすい傾向にある。また、知能、運動能力などにも悪影響を与える。

 本書は、子どもの口の健康づくりを「健口」と命名し、その重要性を説いている。

 よく噛んで食べる習慣が身についていないと、当然、口唇や噛む筋力が弱く、噛み合わせが不安定になりがちで、特に下あごの位置が不安定になる。やがて口を開ける状態が多くなる。この状態は上口唇の力で上の前歯が抑えられないため、前歯がどんどん出てくる。3歳ごろに「お口ぽかん」になった子どもが、7歳ごろまで状態を放置しておくと、前歯が反って出っ歯になることが多いという。出っ歯になると、さらに下の前歯との噛み合わせが悪くなり、噛む能力がいっそう低下する。

 親は都度、子どもに「口を閉じなさい」と注意することで、一定の改善が見られるかもしれないが、のれんに腕押し状態の子どももいるだろう。本書は、噛むために必要な筋肉を鍛える具体的なトレーニング法を、いくつか紹介している。

 そのひとつが、「あいうべ体操」だ。

「あいうべ体操」
(1)「あー」と口を大きく開ける
(2)「いー」と口を大きく横に広げる
(3)「うー」と口を前に突き出す
(4)「べー」と舌を突き出して下に伸ばす

 これを1セットとして、1日に30回行う。風呂に入りながら、テレビを観ながらでもいいが、毎日続けることが大切だとしている。

 このようなトレーニングを通じて噛む力が鍛えられると、噛むことが脳に刺激を与えるだけでなく、口を閉じて鼻呼吸をするようになって感染症のリスクが減ったり、いびきや鼻づまり、睡眠時無呼吸症候群のない、より質の高い睡眠を得たりすることに繋がる。学力アップにも直結する。

 本書は、噛む効用を「脳・健・美・力」で表している。

「脳」…脳血管に血流を送り、脳を活性化させるため、記憶力や集中力が高くなる。
「健」…栄養をとり、消化・吸収を高めて肥満を防止し、健康になる。
「美」…口元、顔の筋肉が引き締まり、美しくなる。
「力」…味覚が鋭くなり、おいしく楽しく食べられるようになって、運動能力がアップする。

 子どもが獲得した口腔機能は終生続く。親が与えられる、非常に大きな財産になる。本書には、他にも健口に繋がる情報やトレーニング法などが紹介されている。

 文=ルートつつみ