これが知りたかった! おしゃべりとセクハラの境界線は「〜的」かどうかにある

社会

2019/6/4

『ハラスメントの境界線 セクハラ・パワハラに戸惑う男たち』(白河桃子/中央公論新社)

「今はすぐセクハラとかパワハラとか言われちゃうんでしょ? 怖くて何にも言えないよ」「生きづらい世の中になった」「結局は何を言うかじゃなくて、誰が言うかでしょう」。

 財務省・福田淳一氏のセクハラ事件や電通・高橋まつりさんのパワハラ事件、#MeTooムーブメントなどが世間を騒がせた昨今。会社のリスクマネジメントとしてのハラスメント対策が急がれる一方で、管理職からはこんな本音が漏れ聞こえてきます。

「(ハラスメントをする)『有害人材』のマイナスは、『有能な人材』のプラスよりも大きい」とジャーナリストの白河桃子氏。いくら業績のいい有能な人材だとしても、ハラスメントをする時点で「仕事ができない人」「リスクマネジメントができない人」だと判断されるようになったと言います。さらに、ハラスメントのある組織は今後優秀な人材の確保が難しくなり、経営面でのリスクも大きいと警鐘を鳴らします。

 とはいえ、管理職の意識は先述のままで、一向にハラスメント対策が進まない状況に、頭を悩ませる経営者も多いのではないでしょうか。ましてや、経営者自身も、何がハラスメントになるのかをはっきりとわかっていない場合もあるかもしれませんね。

 どうすれば相手の尊厳も、自分のキャリアも、会社の利益も守ることができるのか? 白河氏の著書『ハラスメントの境界線 セクハラ・パワハラに戸惑う男たち』(中央公論新社)にその答えがありました。

セクハラの客観的基準とは?

 必要以上にセクハラ・パワハラによる部下の通報を恐れているのは、「どこまでがハラスメントか」という境界線がわからないから。万が一通報があった場合でも、一人の感じ方や申告内容だけで判断するのではなく、調査員が入って客観的な精査をするのが一般的。すぐに解雇、とはなりませんが、基準があれば未然に防げるのに……と思いますよね。そんな方は、本書に紹介されているセクハラに関するフレームワークをチェックしてみてはいかがでしょうか。

SSMW(職場におけるセクシャル・ミスコンダクトのスペクトラム)
言動がどのカテゴリーに該当するかは、状況、これまでの関係、および非言語的な行動によって決まる

(1)概して侮辱的ではない
ヘアスタイルや服装についての日常的な表現
(2)気まずくさせる/軽度に侮辱的
女性に不利なジェンダーの違いに言及したり、暗示したりする発言
(3)侮辱的
ジェンダーの違いに鈍感だったり傲慢だったりする態度
(4)極めて侮辱的
意図的に侮辱する発言や行動
(5)明らかなセクシャル・ミスコンダクト
下品な行動、あるいは身体に実際に触る行動
(6)重大なセクシャル・ミスコンダクト
無理強い、性的虐待、または暴力を伴う言動

※出典:キャスリーン・ケリー・リアドン 南カリフォルニア大学マーシャル・スクール・オブ・ビジネス名誉教授

「今日の服、ステキだね」という発言は(1)だがそれがしつこく繰り返されると(2)、性的な意味合いが強い視線やジェスチャーが伴えば(3)と捉えられそう、というのが白河氏の見解。では、「女性は辞められるからいいよね」はどこに入りそうでしょうか。具体例がどこに位置するかを考えることで、個人も企業も、セクハラについて冷静に考えるきっかけになりそうです。

 言ってはいけない言葉や、やってはいけない行動をただ暗記するだけでは根本的な解決にはなりません。本書でハラスメントの最新事情を学んでアップデートすることが、個人のキャリアアップにも、会社の成長にも必要不可欠です。

文=箕浦 梢