中国ビジネスの話題に追いつけ! 中国ビジネスリーダー・経営スタイルに詳しくなれる1冊

ビジネス

2019/8/29

『チャイナ・ウェイ――中国ビジネスリーダーの経営スタイル』(マイケル・ユシーム、ハビール・シン、ネン・リャン、ピーター・カペッリ:著、池上重輔:監訳、月谷真紀:訳/英治出版)

 昨今、中国経済は急激な変化を遂げ、日本国内のみのビジネスにおいても中国企業の影響を全く受けずに事業を行うことは難しくなってきている。これから中国ビジネスを語れないのは時代遅れだとみなされることもあるだろう。

『チャイナ・ウェイ――中国ビジネスリーダーの経営スタイル』(マイケル・ユシーム、ハビール・シン、ネン・リャン、ピーター・カペッリ:著、池上重輔:監訳、月谷真紀:訳/英治出版)は、急成長する中国企業を世界最高峰のビジネルスクールの経営学者が徹底解剖する1冊である。

 本書は、中国企業のリーダーがどのような原則で経営を行っているかを示すことで、中国におけるビジネスの手引きとなるものだ。中国ビジネスは短期的な機会主義で利益を得るだけでなく、長期的展望を見据えた俊敏な戦略をとることで、その成長と成功を継続させている。

 その成功例の中で、中国の電子商取引最大手「アリババ」は象徴的な存在であろう。ロイター社が2019年5月に伝えたところによると、英国の広告代理店グループWPPと傘下のデータ分析部門カンダーがこのほど発表した世界の小売ブランド年間ランキングで、アリババはマクドナルドを抜いて2位となった(1位はアマゾン)。

 本書はアリババに代表される企業の持つ“敏捷性(びんしょうせい)”を分析する。“敏捷性”は中国のビジネスリーダーたちが武器としてきたもので、本書はそれを「どうすれば成功するのかを徐々に学びながら成長戦略を機敏に変える能力」と定義している。

 企業戦略は、企業の方向性を定め、持続可能な価値と優位性を創出するための支柱である。それは企業にとっての中心的思想であり恒久的なビジョンで、何千人もの従業員にとっての目印となる。

それを踏まえていえば、急激に変化する中国市場は柔軟に適応できる企業に報いてきた。だから中心的思想は比較的定まったものであってよいが、企業戦略は固定的であってはならない。(中略)中国では先約の矢継ぎ早な変更が生存と成長には不可欠であり、さらにはその戦略も迅速に方向修正することがたびたび求められた。

 アリババが世界のトップレベルまで上り詰めたのは、何よりもその敏捷さのおかげだったという。敏捷性のある組織にするために、「リーダーはけっして1人ではない」という考えを用いて、チームができれば幹部候補生たちに自身で迅速な意思決定をする権限を与えた。それだけでは終わらず、「本社が単一の推進課題を設定するよりも、それぞれの市場で主要なプレイヤーになれ」と、各子会社がすすんで独自の戦略を定めやすい環境を作った。

 しかしそれは「企業と消費者、買い手と売り手が出会うバーチャル市場のかけがえのない基盤を創ろう」という共通目標がブレなかったことがもたらしたものだという。会社で共有する「中心的思想」が一貫していたからこそ、同社の高い敏捷性が保たれた。リーダーシップと敏捷な戦略の緊密な相互関係こそが中国ビジネスの成長には必要とされたのだ。

 本書は中国トップ企業のビジネスリーダー72名に対するインタビューと、著者たちによる綿密な分析と考察を中心に構成されている。「中国企業の経営について知りたければこの1冊!」と銘打つとおり、本書は、これからの時代で目を離せない中国ビジネスについて、徹底的に迫ったものとなっている。

文=ジョセート