「毎日ちゃんと料理しなきゃ…」が苦痛!? 料理がめんどくさい時の秘策を紹介!

暮らし

公開日:2019/6/4

『料理が苦痛だ』(本多理恵子/自由国民社)

 本当は、ごはんなど作りたくない。ごはんとは、「お母さん、ごはん、まだー?」と聞かれるあのごはん。ひとり暮らしのごはんならば、誰に文句をいわれることもないから“作らない”という選択肢もあるだろう。しかし、一緒に暮らす家族がいると、毎日何かしらの食事を作らなければならない。一応断っておくと、私は料理ができないわけではないし、絶対的な料理嫌いというわけでもない。ある意味、なかなかに「ちゃんと」作っているほうだと思う。だが、毎日のルーティンワークとなってしまい、まったくおもしろみがない…。

『料理が苦痛だ』(本多理恵子/自由国民社)は、この「料理を作りたくないという苦痛」を、どうやったら解消できるかについて考える本だ。著書は鎌倉で人気の「作らない料理教室」を開くプロ。料理のプロでも、一般人の私と同じようなことを思うのだなとまず驚いた。料理のプロとして日々料理に向き合っているため、より真面目に、そして深刻に苦痛を感じているようだ。彼女が、この苦痛にどう挑んだのか? これは誰でも気になるだろう。

■料理の苦痛を減らすための特効策は、「料理をやめる」こと

 彼女がまずチャレンジしたこと、それは「料理をやめてみた」だ。しかし、多くの主婦・主夫たちは、1日だけならともかく、長期間やめるというのは家族の手前、難しいのが現実だろう。こんなことは真似できないと思うかもしれないが、彼女にも夫と子どもがいる。彼女は、いったいどうやって「やめる」を実行したのだろうか?

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 彼女は最初に、「やめる宣言」をした。つまり、家族に向かって料理を作らないことを宣言したのだ。この時、延長もあるかもしれないと含みおきした上で、やめる期間も伝えている。

 次にやったのは、冷蔵庫にあったものを使い切る、そして料理をしなくても食べられる手段の用意だ。デリバリーしてくれるお店のリスト化、デパ地下やスーパーのお惣菜コーナーを改めて視察、冷凍食品をストックするなどだ。最近はコンビニでも小分けになった冷蔵のお惣菜が売られているので、真似するならばいくつか冷蔵庫に入れておくと安心だろう。いざとなったら、ご飯だけ炊飯器で炊いて、おかずはレンジでチンだ。

 ここまで来たら、あとは実行。絶対に、料理をしない。その期間は、外食やお店で売っているお弁当も積極的に利用する。ちょっと食費はかかるが、外食は料理作りのための「研修」なのだ、と自分にも家族にも説明。味や盛り付けを学べるのだから安いもの、ということにしておこう。

 こうして、料理をやめた結果、彼女自身に変化が訪れた。食事の喜びを思い出し、笑顔が戻ったのだ。彼女の場合は、1週間ほど料理をやめたところで、「自分の作ったものを食べたい」という気持ちになり、料理作りが再開された。さらに、自分が料理のプロになった動機であるように、「料理はクリエイティブなもの」ということを再認識したようである(ちなみに、著者の料理教室の生徒さんの中には、「一生作らない」と宣言している強者もいるそうなので、どのくらいの期間料理をやめるかはその人次第だろう)。

 本書の最後には、気力がない時でもこれなら作れるレシピ集のひとつとして、「全部一度に鍋に入れて火をつけるだけ」のレシピが紹介されている。料理魂が復活してきたらリハビリ期にぜひチャレンジしたい。モチベーションが上がりそうなおしゃれメニューも、鍋ひとつでできるというのが魅力的だ。

■自分をがんじがらめにする「料理のルール」を見直そう

 誰かのために食事を用意するということは、冷静に考えれば尊い行為だ。たとえ、家族から「もっと肉食べたかった!」とか「何でピーマン入れたのー?」とかブーブー文句をいわれたとしても無視だ。自分が作りたいと思ったものに、家族の好みを時々入れて、無理なく作ることにしたい。決して誰かが決めたように「ちゃんと」していなくてもよいのだ。

 主婦・主夫になると、「ちゃんと」ごはんを作っていないと罪悪感を感じがちだ。でも、その「ちゃんと」ってそもそも何だろう? 私の場合は、子どもの頃に食べていた食事やそのときの習慣が基準になっていると思う。母世代やもっと上の世代が作る食事は、毎日手作りするしか手段がなかったので、確かに今よりも「ちゃんと」していたと思う。しかし、それだけにこだわるのは時代錯誤かもしれない。自分を不必要に縛る料理のルールを見直して、毎日ご機嫌で過ごそうではないか。当たり前の家事に新鮮な眼差しを投入してくれる1冊だ。

文=奥みんす

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