40代から始まる「感情の老化」――見た目年齢も左右する感情の老化に抵抗するには

暮らし

2019/6/13

『「感情の老化」を防ぐ本』(和田秀樹/朝日新聞出版)

 40代は働き盛り。仕事の幅は広がり、プライベートを充実させる余裕ももちやすい。しかし、40歳の異称は「初老」。まだまだ若いつもりでも、ふと肉体的、精神的に衰えを感じる人は少なくないだろう。

 人は誰もが生まれて育ち、老いて人生の幕を下ろす。40歳以降は嫌でも「老い」を意識するようになってくるが、もしかしたら、心掛け次第で「老い」の進行を鈍化できるかもしれない。

『「感情の老化」を防ぐ本』(和田秀樹/朝日新聞出版)によると、老化といえば「健康」「脳」「見た目」に着目されることが多いが、実は、これら3要素の低下を防ぐ以前に手を打つべきなのが、「感情の老化防止」だ。

 次のような自覚症状があれば、感情が老化し始めている可能性がある。

◯昔ほど、何かに感動しなくなった

◯嫌なことがあると、ずっと引きずってしまう

◯アイデアが湧かなくなってきた

◯最近、頑固になったと感じることがある

 いかがだろうか。本書によると、“感情年齢”は大脳の前方にある前頭葉の萎縮と密接な関係がある。前頭葉の萎縮は40代頃から始まり、放置しておけばどんどん進行する。感情年齢が増すと、感動もやる気も減退し、前述のような症状が目立ってくる。さらに、こういった症状から連鎖して、体や脳を使うのがおっくうになり、全身の老化が加速する。感情の老化が、すべての老化の元凶だと、本書は述べる。

「暴走老人」という言葉がしばしば使われる。高齢になると、感情の高ぶりを自らが操作できなくなるイメージがあるかもしれない。感情の老化によって、感動もやる気も減退するならば、イメージとは逆に「静かな性格になる」「泣いたり怒ったりすることがなくなり、無表情になる」と思われるかもしれない。しかし、これは誤った想像のようだ。前頭葉の萎縮は、感動ややる気の減退と同時に、感情のコントロール不能をもたらす。結果、自分の考えに固執したり、怒りっぽくなったり、いつまでも涙が止まらなくなったり、柔軟性がなくなったりする。

 感情の老化は、「感動がなく、やる気もなくて、融通がきかず、感情のコントロールができない人」をつくっていくのだ。会社に当てはめてみると、落ち込んだ気分から抜け出せない、何かに腹を立てると怒りが収まらなくなる、自分の意見を押し付ける、人の話に耳を貸さない、などの中高年がイメージに当てはまりそうだ。こう考えると、そういった人たちの人格を否定することは酷なように思えてくる。本人たちは、自分が気付かないところで、感情の老化による悪影響を受け続けているのだ。

 本書は、感情の老化の恐ろしさとともに、これに抵抗する方法も示している。詳しくは本書にあたってもらいたいが、簡単にポイントを紹介すると、次の5つに絞られる。

ポイント(1)
自分が楽しめることを最優先にする
…自分の気持ちを抑えるのはほどほどに、時には「ミーファースト」の考え方を大切にする。

ポイント(2)
最初から答えを求めすぎない
…最初から結果を決めつけず、答えを求めずに行動することも大切にする。

ポイント(3)
はじめてのことにトライする
…はじめて体験する出来事は、前頭葉に刺激を与え、気持ちをリフレッシュさせてくれる。

ポイント(4)
ちょっとリスキーなことにも挑戦してみる
…多少のリスクがあることに挑戦すると、脳は刺激を受けてフル回転する。投資やギャンブルなど。

ポイント(5)
恋する気持ちを味わってみる
…リアルな恋愛ではなく、歌手や俳優に夢中になったり、小説の主人公に恋したりするのも良い。

 本書は、感情の老化が始まる40歳代以降の意識のもち方や過ごし方で、その後の人生が大きく変わる、としている。肉体や精神の衰えを感じる、本記事に挙げた症状に心当たりがある、などの人は、本書を手に取ってみてほしい。

文=ルートつつみ