出産と育児のリアルな声に「あるある!」 産後カルタで思いっきり笑おう

暮らし

2019/6/22

『産後カルタ ~あるある! これがリアルなママライフ~』(ママスタセレクト/ぴあ)

 出産は女性にとって一大イベントだ。新しい家族が増え、生活も大きく変化する。妊娠中の女性は、これから生まれてくる我が子の幸せな日々を想像したり、新しい暮らしに不安を抱いたりする。特に、初産となれば、「いったい何が待っているのか」と考え込んでしまうこともあるはずだ。そういうときには、先人の知恵を借りるというのも大事だろう。しかし、必ずしも身近に話を聞ける相手がいてくれるとは限らない。

 そんなとき、支えになってくれるのが『産後カルタ ~あるある! これがリアルなママライフ~』(ママスタセレクト/ぴあ)だ。本書は出産や育児に役立つ本ではなく、妊娠と出産を経験した女性たちのリアルで、切実な心の叫びが描かれた本だ。

 30名を超えるママイラストレーターが、「産後カルタ」として産後の母親の実態や素直な感情をユーモアたっぷりのカルタにして描いている。子どもは驚くほどに元気で、母親の事情はお構いなしだ。自由な時間どころか、寝る暇さえ作るのが大変という。想像するよりも育児というのは壮絶で、まるで毎日がお祭り騒ぎのようなものらしい。

 子育てそのものが大変というだけではなく、産前に抱いていた理想と現実のギャップも大きい。「産前産後ギャップカルタ」では、子どもを産む前にはキラキラとした想像を膨らませていた母親が、現実の子育ての大変さに頭を抱える姿が描かれている。たとえば、産前は「かわいい服をたくさん着せてあげたい!」と思っていたのに、「よごれても気にならない服ばかりヘビロテ」という結果に至る。「ふたりで穏やかに眠る日々」を想像していたのに、現実は「二時間でいい!熟睡を願う日々」になってしまう。母親というのは、本当に大変な立場なのだ。

 ただ、「本書を読むべきなのは男性だろうな」とも感じた。「旦那カルタ」には、出産や子育てに臨む母親が、パートナーの男性に抱く率直な気持ちが描かれているからだ。「ねかしつけ頑張る隣で俺スマホ」「遅くまでお疲れ様だけどお静かに!」など、夫に対する妻の不満や願望が載っている。すでに子どものいる父親だけでなく、そろそろ子どもをと考えている男性も、読んでおくと心構えができるはずだ。

 妊娠や出産は男性が想像するよりずっと負担が大きく、産後はすぐに子育ての日々。体調は思うようにならず、寝る時間を確保するのも簡単ではない。だがその一方で、子どもの笑顔と成長する姿を見て至上の喜びを得るのも事実だ。「アプリなみとびきり盛れる親フィルター」「かわいいね! まんざらでもない親心」「写真見て疲れ吹き飛ぶティータイム」など、親になったからこそ感じるものも随所に盛り込まれ、やはり子どもとの時間はかけがえのない宝物だとわかる。そして、すでに子どもを持つ親にとって、「うん、わかる」と思わず笑ってしまうカルタもあるはずだ。

 泣きじゃくる我が子に困惑する母親に、「しっかりしろ」と言うのは簡単だ。しかし、その母親にとって子育ては初めての経験で、どうしていいのかわからないのかもしれない。「こんな子が本当にいるんだ」というカルタを見ていたら、そんな光景にも寛容になれる。そんな一冊である。

文=方山敏彦