上下の歯がくっついているのは危険サイン!? 自分の歯を守る生活習慣をイラスト付きで紹介!

健康・美容

2019/6/23

『100歳まで自分の歯を残す4つの方法』(齋藤博:著、木野孔司:監修/講談社)

 虫歯や歯周病など、歯にまつわる悩みは世代を問わず尽きないものだ。虫歯になった経験のない人は、予防意識が高い現在でもやはり少数派だし、歯周病にいたっては、20歳以上の日本人の8割近くがかかっているというのだから深刻だ。そんな現実がある一方で、多くの人々が、いつまでも「自分の歯」でものを美味しく食べたいと思っているのも事実だろう。

 年齢を重ねても自分の歯を失わないための方法を具体的に教えてくれるのが、今年、改訂新版が発売された『100歳まで自分の歯を残す4つの方法』(齋藤博:著、木野孔司:監修/講談社)だ。著者は「自分の歯を生涯使用してもらう」ことをテーマに、歯科医院を開業している齋藤博氏。氏の42年にわたる臨床経験と、東京医科歯科大学顎関節治療部で難治の患者を多数完治させてきた実績のある木野孔司氏の「TCH理論」を組み合わせ、自分の歯を残すために必要な知識とその方法を具体的に教えてくれる1冊だ。早速その一部を紹介しよう。

■虫歯と歯周病は生活習慣病!?

 乳歯が永久歯に生え替わるのが6~13歳頃。それから平均寿命の80歳代まで自分の歯を残すとすると、約70年もの間、歯を守らなければならない。歯を失うにはさまざまな原因があるが、約7割を占めているのが虫歯と歯周病だという。本書によると、虫歯と歯周病は典型的な生活習慣病なので、これまでの生活習慣をすみやかに改めない限り、近い将来、次々と歯を失っていく危険があるという。今まで虫歯や歯周病の経験のない方の場合でも、油断は禁物。特に歯周病には注意が必要で、40代になると歯周病が原因で一気に歯を失ってしまう人が急速に増えるというから要注意だ。

■上と下の歯がくっついていたら、要注意?

 では、自分の歯を長く残すために、私たちはいったい何をすればよいのだろうか? 本書が具体的な方法として挙げているのが、次の4つの生活習慣だ。

習慣1 歯の接触時間を極力減らす
習慣2 砂糖をできるだけ控える食生活をする
習慣3 最低1日1回正しい歯みがきをする
習慣4 3カ月に1回、歯周病管理のために歯科医院に通う

 習慣1の「歯の接触時間を極力減らす」は、本書で得る有益な知識のなかでももっとも特徴的なポイントだろう。著者によると、「ていねいなブラッシングをして、定期的に歯周病管理をしているにもかかわらず、歯が次々にだめになってしまう人がいる」という。長年、その原因は謎だったが、そうした患者には強いTCHがあることがわかったのだという。

 TCHとは、「Tooth Contacting Habit(上下歯列接触癖)」のこと。私たちは上の歯と下の歯は常に接触していると思いがちだが、実はそれは間違いで、人が口を閉じているとき、上下の歯は本来接触しない。歯が接触するのは、会話、咀嚼、嚥下をするときで、その接触時間を合計しても、1日あたり20分以内が正常だという。だが、TCHの人の場合は、常に上下の歯が接触しているため、口を閉じる筋肉が活動し続けている。結果、その筋肉が疲労して顎関節症を引き起こしやすくなるばかりでなく、歯に小さなダメージが蓄積されていくため、ある時から異常な速さで歯周病が進行したり、詰め物をした歯、義歯(入れ歯)やブリッジにダメージを与えてしまうのだという。TCHはコンピュータを使った作業をしている人に多いと言われているが、多くの人が仕事中だけでなくスマートフォンや携帯電話を使っている現在、TCHリスクを抱えている人は想像以上に多いと本書は指摘している。

 だが、無意識に上の歯と下の歯をくっつけていた、という人でも心配はいらない。本書ではTCHを解消するための3ステップを解説する。

 第2ステップでは注意喚起のために自分の周りに貼り紙することを勧めている、そのために使えるヨシタケシンスケ氏の「TCH是正『歯 離してる?』シール」が特別付録で付いているのもうれしいところ。コミカルなシールと目が合えば、思わずにやりとしながら、自分の歯に対する意識も高めていけそうだ。

 TCHは6年前に本書が発表されたときにも大きな注目を集めたテーマだ。テレビや雑誌などでも取り上げられ、現在では多くの人が知っている言葉になりつつある。本書は、そのTCHについてただ知るだけでなく、きちんとコントロールして状況改善する方法を教えてくれる頼もしい1冊だ。自分で毎日ケアできる歯みがきの手順をわかりやすく示したポスターも巻末に付いている。ここで解説される方法は、けっして難しいものではない。あなたも自分の生活に取り入れて、100歳まで自分の歯で美味しく食べる生活をめざしてみてはいかがだろうか。

文=井上淳