三浦瑠麗&橋下徹が教える、国民が「よりマシ」な政治を選ぶ基準

社会

2019/7/16

『政治を選ぶ力』(橋下徹、三浦瑠麗/文藝春秋)

 令和に元号が変わって早2ヶ月。予定では、あと3ヶ月で消費税が増税されることになる。先日の「老後資金2000万円問題」など、なんだかここ最近の話題は自分たちの生活を直撃するパンチ力のある話ばかり。本当にこのままで大丈夫なんだろうか…さすがにこうした暮らしの危機には敏感に反応するという人も多いんじゃないだろうか。

 折しも通常国会が閉幕し、いよいよ7月の参議院選挙に向けて各党が動き出した。当たり前だが選挙こそ民意を示す場であり、ぜひ少しでも暮らしが上向くような未来に票を投じたいもの…だが、なんともその投票先選びが難しい。「強引な与党とノーしか言わない野党」のイメージが強い今、本当に私たちにとって最適な政治ってどんなものなのだろう。

 このほど出版された新刊『政治を選ぶ力』(文藝春秋)は、そんな疑問へのヒントになるかもしれない。著者は元大阪府知事の橋下徹氏と国際政治学者の三浦瑠麗氏。橋下氏と三浦氏といえばどちらもかなり強気の印象があり、この2人の組み合わせを歓迎する人と抵抗感を持つ人にいかにも分かれそうな予感がする。

 だが、そうした印象論はいったん横に置いておくのがいいだろう。様々な政治課題に対し、政治的な達成を「何を基準にどう評価すべきか」という論点を共有した2人の視点はかなりクール。「経済政策と税金問題」「公務員改革と需給調整」「外交・安全保障」などの政治課題における現政権への政策評価をベースにしながら、「考えられる道筋はこう」「この政策の反対はこう」と考え方のメカニズムとその直結する未来を提示し、ひいては野党の果たすべき役割にまで言及していく。そして強気の2人だからこそ曖昧な物言いはせず、時に辛辣に核心をついてくる。強硬に持論を展開するというよりも、むしろ時々繰り出す過激な持論がエッセンスとして効いてくる感覚だ。

 たとえば、外交における日本の政治家の態度について「与野党問わずかなりの数存在するのが威勢のいいことをワンワンいうだけで課題を解決しようとする知恵と工夫がまったくない“雄叫び派”。あとは世界から良く思われたいだけで儀礼的なきれいごとばかりで解決できない“きれいごと派”ばかり」とぶった斬る橋下氏。

 そして「たとえばODAを現地で恩着せがましく強烈にアピールするなど、知恵と工夫とずる賢さで立ち回る“腹黒派”で行くべき」と主張する。

 三浦氏は「その場合、秩序の概念や自由・平等性などの理念を掲げつつ、もう一方では自国の利益を最大化することに腐心する“偽善”の有効性が重要」とクールに補足、あるいは意見は意見として聞いた上で対立軸を提示していく。いずれにしても2人が強くこだわるのは「現実路線は何か」ということ。特に大阪府知事などの経験のある橋下氏だからこそ語れる「動く政治」の実感は、時に理論だけでは立ち行かない政治のダイナミズムをリアルに教えてくれる。

 私たちが政治を考える時、新聞やテレビなどが身近な道具となる一方で、時代の熱やメディアの主張に左右される可能性もあり、こうした書籍の総括的且つ客観的な視点が参考になる面も大きいだろう。大事なことは印象論で決めつけることなく、様々な意見にきちんと耳を傾けること。私たち自身の「知る努力・考える努力」、その結果身につく「判断する力」が、未来を変える力につながるのだ。

文=荒井理恵