「おにく」を愛する外食チェーンが5店揃って大活躍! 外食マナーを楽しく学べる一冊

食・料理

2019/8/21

『外食戦隊ニクレンジャー 悪をにくんでおにを愛す』(フルカワマモる:絵、りょくちしんた:文/集英社)

 幼少時、外食というと「特別なこと」のように感じていた人も多いだろう。小生も自宅の食卓には決して出てこないようなメニューにワクワクしたものだが、つい興奮してしまい、羽目を外したことも一度ならずあった。持ってきた玩具で遊んだり、大声を出したり、走り回ったり……。そんな状態の子供はそうそう親の言うことなど聞きはしない。子供自身がマナーを意識しなければ!

『外食戦隊ニクレンジャー 悪をにくんでおにを愛す』(フルカワマモる:絵、りょくちしんた:文/集英社)は、子供たちが楽しみながら外食マナーを学べる一冊だ。なんといっても登場キャラクターが楽しい。お馴染みの外食チェーン「吉野家」「松屋」「ガスト」「ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)」「モスバーガー」の5店をモチーフとした戦隊風ヒーローなのだ。

 なぜこんなコラボが生まれたかといえば、「外食産業は競合ではなく、共創しながら盛り上げていきたい」という思いからだという。「競争」ではなく共に創ると書いて「共創」とは、面白い発想。それを最も象徴しているのは、同業他社である「吉野家」と「松屋」が共演していることだ。作中では「ヨシノヤオレンジ」に「マツヤイエロー」と名乗り、それぞれに「ギュードーンパンチ」と「定ショックパワー」を得意技としている。「松屋」は定食も売りだけに上手い描き分けだと思う。

 他のキャラクターはといえば、「ガスト」がモチーフの「ガストレッド」は戦隊一の物知りと紹介されるが、得意技はハンバーグ型の手投げ弾「ハンバーグ弾」と過激だ。「KFC」は「ケンタホワイト」。戦隊一のイケメンで、「チキンウイング」で空を飛ぶ……ニワトリって飛べるのか? そして「モスバーガー」の「モスグリーン」は紅一点。「いやさレタス」で疲れたメンバーを癒すのだ。「おにくを愛する」ニクレンジャーだが、ちゃんと野菜を食べなければ、力は発揮できないことを教えてくれる。

 それでは本編を見てみよう。舞台は「ある平和なくにの 平和なまち。その まんなかをとおる おにくストリート」。そこにニクレンジャーたちの5店もある。ある日、別の店のコックさんがニクレンジャーに助けを求めて駆け込んできた。「くいしんぼうかいじんハラペゴン」が料理を独り占めしているというのだ。ニクレンジャーが駆け付けると、ハラペゴンが食べ物を行儀悪く食べ散らかしていた。

 子供たちはハラペゴンの姿を見てどう思うだろうか? 本書は「ハラペゴンの おぎょうぎの わるいところを 5つさがせ」と設問。ここが本書のテーマである「食育」なのだ。皿に口を付け、食べ物で遊び、野菜は残し、食べこぼしも多く、テーブルの上に座るハラペゴン。子供のいる家庭なら、ぜひ一緒に考えて読んでほしい。大人でもここに示されたマナーを実践できていない人は案外といるもの。子供たちの手本となるように心がけておきたい。

 しかし、そんなハラペゴンもニクレンジャーたちにマナーを「強引に」教えられ、あっという間にテーブルマナーを身につけてしまった。もっとも、このままでは悪の面目丸つぶれ。その場は退散するものの、ニクレンジャーに挑戦状を送りつける。勿論、たくさんの罠を用意して、である。ハラペゴンの城へ向かい、罠を潜り抜けていくニクレンジャー。その行程では迷路が描かれており、読者もそれを解いて楽しめる。

 本書では食育は勿論、協力や努力の大切さなど、子供たちに学んでほしいことを、戦隊ヒーローのパロディを装いながらさりげなく鏤めてある。ぜひ子供に読ませたい一冊だが、我々大人が子供の手本となることも大切だ。小生はといえば、まずは野菜を残さないようにせねば…。

文=犬山しんのすけ