衝撃…人はインプットした情報の97%を忘れてしまう!? 学ぶ効率を上げる近道とは?

ビジネス

公開日:2019/9/9

『学び効率が最大化するインプット大全』(樺沢紫苑/サンクチュアリ出版)

 昨年発売された『学びを結果に変えるアウトプット大全』(樺沢紫苑/サンクチュアリ出版)は、40万部を超えるベストセラーとなった。今、同書と並んで書店に置かれているのが『学び効率が最大化するインプット大全』(樺沢紫苑/サンクチュアリ出版)である。著者の樺沢紫苑氏は、“日本一アウトプットする精神科医”だという。毎日3時間以上を執筆に費やし、作家として30冊の著作を世に出している。そんな樺沢氏は、さぞたくさんの“インプット”もしているに違いない…と思いきや、その“量”は決して多くないそうだ。

そんな私のアウトプットを支えているのが、以下のインプットです。
読書(スキマ時間のみ) 20~30冊/月
スマホ使用時間 30分以下/日
ネットからの情報収集 15~20分/日

 読書に費やす時間は普通の人より多いだろうが、その分インターネットに触れる時間は極端に短い。大切なのは、“量”よりも“質”だという。限られた時間のなかで、いかに身になるインプットができるかどうかが重要だ。さて、私たちはそれができているだろうか。

■人間はインプットした97%を忘れてしまう!?

 著者は、自分のセミナーで次のような実験を行った。それは、「過去1週間にネットで見たニュース、情報、ブログを、憶えているだけたくさん書き出してもらう」というもの。結果は、平均が3.9個で、最も多い人でも10個に留まったという。1日20個程度の情報を見ているとすると、1週間後に記憶として残った割合はたったの3%。いざ事実を突きつけられてみると、衝撃的な数字である…。それでは、どうすればこの割合を上げることができるのだろうか。

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■方法その1、アウトプットを前提にする

 何かを学ぶとき、「みんなの前で発表する」「誰かに教える」といった“アウトプット”が前提になると、その吸収力はまったく変わる。これを、著者は「アウトプット前提でインプットを行う=AZ」と呼んでいる。AZを行えば、脳が緊張状態となりノルアドレナリンが分泌される。その結果、集中力・記憶力・思考力・判断力がアップする。ほどよいプレッシャーが、インプットそのものの質を劇的に高めるのだ。

■方法その2、SNSで専門家の情報を集める

 日々の情報収集の仕方においても、工夫できることはいくつもある。著者は、SNSで“キュレーター”をフォローすることを推奨している。ここでいうキュレーターとは、たくさんの溢れるような情報の中から、重要なもの、正しいものを選別、さらに整理して発信してくれる存在。たとえば、政治や経済の問題からおすすめのグルメ情報まで、SNSにはたくさんのキュレーターたちが溢れている。ただ漫然と情報に身を浸すのではなく、きちんと吟味してフォローする人を決めれば、集めたい情報が自分のところに自然と集まるタイムラインが出来上がる。

 本書は、“大全”というくらいだから、ここには書ききれないほどのさまざまなインプット術が紹介されている。誰もが気になるであろう、本の読み方、話の聞き方、ものの見方…。あらゆるインプットの場面において、注意すべきポイントをわかりやすく解説している。そして、本書を読んだら、ぜひまた『アウトプット大全』にも手を伸ばしてほしい。私たちの成長には、常にインプットとアウトプットの両輪が必要なのだ。

文=中川凌