健康意識の高い人こそ要注意! 1日1万歩やヨガが「運動」にならない理由

健康・美容

公開日:2019/9/16

『女性が医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(中野ジェームズ修一:著、伊藤恵梨:監修/日経BP)

 私は標準体型。決して太ってはいない。けれども運動することがほとんどないので、最近は明らかに体力がなくなっていると感じる。座り仕事が多いせいか、たまに腰が痛くなることも…。

 そんな人はぜひ『女性が医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(中野ジェームズ修一:著、伊藤恵梨:監修/日経BP)を読んでください。著者は青山学院大学の駅伝チームのフィジカルトレーナー・中野ジェームズ修一氏。

 中野氏はこれまでにも同様のタイトルの本を出したことがあります。刊行後10万部を突破したベストセラー、『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(中野ジェームズ修一:著、田畑尚吾:監修/日経BP社)です。本記事で紹介する本との違いは、対象読者。前著は主に中年男性に向けて書かれたものでしたが、6割は女性読者だったそうです。

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 男性と女性では効果的な運動が違うのだから、女性のための本を書かなくては、ということで本書が執筆されました。結論からいうと、女性にとって必要なのは「筋トレ」だそうです。

 中野氏は「女性は男性に比べて運動習慣がない人が多い」といいます。標準体型よりも痩せている人は「太っていないから運動しなくてもいい」と考えているのではないでしょうか。事実、筆者もそうでした。そうはいっても、週に何回かはヨガなどの軽い運動をしているから大丈夫。そう思っていたのです。

 しかし、この本を読んで考え方が変わりました。このままだと将来は骨粗鬆症かロコモティブシンドロームになってしまう可能性が高いことが分かったのです。ロコモティブシンドロームとは、筋肉や関節に障害が起こり、立ったり歩いたりすることが難しくなる状態のことです。

 筋トレをしないと若くても歩けなくなる可能性があるという事実は衝撃でした。さらに、むくみや肩こりといった女性の不調の多くも「筋力不足」から来るものだったのです。

 ウォーキングや軽い筋トレもしないよりはマシかもしれません。ところが、筋肉は日常生活よりも強い負荷をかけなくては成長しないそうです。また、少しずつその負荷を上げていかなければ筋肉は増えてくれないとのこと。

 そこで本書が提唱するのが、下半身を鍛える筋トレです。体の中で一番大きな筋肉があるのが下半身なので、大きな筋肉を鍛えれば効率よく筋肉量を増やすことができます。

 試しに自分の体重を負荷にして深く沈み込んでからジャンプするものや、ランジと呼ばれる体幹を鍛えるメニューをやってみました。結果は、目標回数に到達する前に下半身が動かなくなりました。動きは地味なのに、家の中でする運動としてはハードです。著者はアスリートではない場合、週2回は筋トレ、週1回はヨガなどの有酸素運動をするのが理想的だといいます。

 そして筋トレのほかにも大切なものがあります。それは、食事です。健康のために、ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な食事を心がけている女性は多いはずです。しかし、そうした一見「ヘルシーな」食事は明らかに栄養不足なのです。必要なのはタンパク質。タンパク質の足りない食事を続けていると、どんどん筋肉が弱っていくのだそうです。

 ただし、肉や魚で必要量を摂ろうとすると脂肪をとりすぎる可能性があるので、大豆など植物性タンパク質を豊富に含む食材を上手く取り入れる工夫も必要です。

 筋トレを実践したいけれどやり方が分からないという人のために、本書には解説動画のURLが載っているので、自分でする筋トレに不安がある人でも安心して取り組むことができるでしょう。

「太っていないから運動しなくてもいい」と考えている女性にこそ、この本を読んでみてもらいたいと思います。

文=いづつえり