「よっしゃ頑張るぞ」は逆効果? やりたくないことを最速で済ませる集中力に必要な3ステップ

ビジネス

2019/9/30

『東大集中力』(西岡壱誠/大和書房)

 手持ち無沙汰になったらいつの間にかスマホに手が伸びてしまう…そんな「ながら」行動にあふれた現代社会。自分の集中力の持続について悩む方も多いのではないだろうか。『東大集中力』(西岡壱誠/大和書房)は、ベストセラー『東大読書』『東大作文』を書いた現役東大生の著者が、集中するテクニックに焦点をあてた1冊だ。

 映画やドラマで受験勉強のシーン、あるいは仕事の山場を迎えているシーンで、「よっしゃ、集中するぞ!」と自分の頬を叩き、親が作ってくれた夜食やエナジードリンクを飲んでデスクに向かう登場人物をイメージする人は多いかもしれない。だが、集中力はそのように頑張って発揮されるものではない、というのが著者の一貫した考えだ。

“真の「集中」というのは、無理をしないこと。
我慢せず、無理をせず、しかし自然にそういう状態になっていること。
つまりは「頑張らない集中」こそが真の集中なのです。”

 東大の学生たちが集中しているときの姿勢はだいたいの場合が前のめりであることから、著者は理想の集中スタイルを「前のめりの集中」と呼ぶ。言い換えるならば、能動的に作りあげられた集中状態ということだ。では、私たちがそれを作り出すにはどうすればよいのだろうか。著者は3つのステップを挙げている。

1.目標の明確化
2.モチベーションの維持
3.チェック

 1と2は、自分のやろうとしていることを自分自身で納得するための自己暗示につながる。たとえば、道行く人にランダムに声をかけて、バットを100回振るようにお願いしたとしても、全力でそれをやりきってもらうのは難しいだろう。だが、「全力でやりきったら1万円!」という条件をつけたら、そうしてくれる人は増えるだろう。また、もし将来野球選手になりたいという夢を持っている学生に当たれば、無報酬でも素振りを続けるかもしれない。

 ボランティア活動にも通じるが、“意義”を感じていれば一見非論理的に見える行動でも人間は実行できるのだ。3は、自分自身をより深く知るためのステップだ。自分の思考のクセを知った上で、今打ち込んでいることに継続する価値があるかどうかをジャッジすることが大切だ。

 このステップはいわゆる「PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクル」と似た内容ともいえるが、本書では「8つの思考パターン」のうち自分がどのタイプかを診断することによって、より具体的にサイクルを実現する手助けをしてくれる。

 8つのタイプとは、「右脳派/左脳派」「努力派/効率派」「慎重派/行動派」のかけ合わせだ(ちなみに筆者は「右脳・効率・行動派」で、それに対応するアドバイスも非常にしっくりくるものだった)。

 前のめりの集中状態を作るには、いろいろなコツがある。その中で、すぐに真似できそうなヒントのひとつは「積み残しを作っておく」ということだろう。

 仕事や物事のキリのいいところまでやってしまうのでなく、その少し前で止めていったん休息する。そうすることで、次回作業を再開するときには「早く再開したい」というモチベーション、フレッシュな状態、新しいことのウォームアップが全て完了する…というテクニックだ。

 そして重要でありつつ難しいことは、「アウトプットを続けること」だと著者は説く。インプットは何も考えていなくても完了できることもあるが、アウトプットには必ず能動的な姿勢や集中力が必要になる。

“アウトプットするというのは、自分の頭を使わなければ絶対にできない行為です。例えば「何か文章を書いてください!」と言われて、無意識で何も考えずに書ける人はほとんどいないと思います。”

 前のめりの集中姿勢を形作りたいあなたは、まず本書を手に、著者直伝のテクニックを実践するという「アウトプット」を試してみてはいかがだろうか。

文=神保慶政