あなたの怒りは何タイプ? 子どもを怒っても逆効果! 怒らず育てるヒントをイラストで

出産・子育て

公開日:2019/10/10

『イラストでわかる 怒らずのばす育て方』(篠真希:著、モチコ:イラスト/池田書店)

 普段はほとんど怒らないという人でも子育て中はそうもいかず、感情を抑えられずに声を荒げることがあるのでは? 自分にもこんな怒りの感情が潜んでいたのか、と驚くこともあるかもしれません。

 でもその怒りはコントロールできることを知っていますか? 怒りについての知識を得て、怒らずにいられる技術を身につける“アンガーマネジメント”が注目されていますが、これは子育ての困りごとにも有効だそうです。

 母親向けのアンガーマネジメントの第一人者である篠真希さんの著書『イラストでわかる 怒らずのばす育て方』(篠真希:著、モチコ:イラスト/池田書店)では、子育てにおけるいろいろなケースを取り上げ、怒りの扱い方について、1から10までイラストでわかりやすく紹介しています。そもそも、「怒りのコントロール」とは、どういうことでしょうか。

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■あなたの「怒り」は何タイプ?

“怒りのツボ”は、育ってきた環境などによって異なります。たとえば、マナー違反にイラッとする道徳心が高い人がいれば、優柔不断にイライラする完璧主義タイプも。さらに「その場でキレやすい」「過去のことをいつまでも怒っている」など怒り方のパターンも人によって違うのだとか。

 怒りをコントロールするには、まず自分のタイプを知ることが大事。本書で、自分の意外な怒りグセが見つかるかもしれません。

■どうして人は怒るの? 怒りはコントロールできる!

 怒りとは自分の身を守る行為でもあり、誰にでもある感情だから、うまく付き合っていくのが得策。しかも怒りは弱いものに対して向かいやすいので、親から子どもへ、子どもからお友だちへ…などと行き場を探してしまう前に、できるだけ避けられるのがベスト。イライラが子どもに伝染したり、怒りっぽい人が鬱になりやすかったりと、さまざまな悪影響もあるそうです。

 怒りの水面下には、「悲しい」「むなしい」などの感情が隠れているため、そのイライラの原因をつきとめることが第一歩。そして大事なのは、“イライラの元”に対してどんな意味づけをするか、です。たとえば、散らかったオモチャを見つけて「怠けている!」と意味づけすると怒りにつながりますが、「疲れていたのかな?」と思えば怒りは生まれません。

 それでも怒りを感じたときは、深呼吸をする、一度その場を離れる…などの方法や、怒りを書き出して客観的に分析する「アンガーログ」などの具体的な方法が本書に紹介されています。

■「怒らない」声かけで子どもがのびのびと育つ

 では、これらのコントロール方法を子育てに照らし合わせてみると…? 本書では、子どもに対して怒ってしまいがちな場面を48件取り上げ、そのケースごとの声かけや、怒らないで済む接し方をわかりやすく教えてくれます。

 子どもの困った言動の1位は「お片づけをしない!」。毎日のように繰り返されるので、つい「なんで片づけないの!」と感情を爆発させてしまいますが、できなかったことを責めると余計に苦手意識を強めることにも。

 そこは諦めずに、「棚に戻そうね」など何度も繰り返しストレートに伝えることが大事。そして、できるようになったら、たくさん褒めると効果的だそう。また、子どもはすべてのものに命があると考えているため、「おもちゃがおうちに帰りたいって」のように伝えると、ものを大切に扱うようになれるのだとか。

 また、待つことができずイライラしはじめる子は、まだ自制心が育っていないのかもしれません。そんなときに「静かにして!」「あっちに行っていなさい」と怒ってしまうと、自制心は育ちません。

 そんなときには、「みんな急いでいるけど並んでいるの」「3人目だから、あと5分くらいかな」と、待つ理由や時間をわからせて、待てたら褒めることがトレーニングに。とある研究によると、自制心が育つと、のちの学力が高くなるそう!

 食べ物や飲み物で遊ばれると、見ている大人はイライラして「やめなさい!」と怒ってしまいますが、ここは心の余裕を持つことが大事。そのために「許せる範囲」を広げておきましょう。子どもの「よいとき」ではなく「できないとき」を想定し、たとえば100点じゃないことで怒るのではなく、50点までは許す、といったイメージです。

 心に余裕が生まれると、食卓での遊びも「小さい子が必ず通る通過点」と大きく構えられます。「おにぎりの中身は何かな?」など、子どもの関心を食べることに引いて、集中を促す楽しい声かけをすることもできそうです。

■子どもの「将来」のためのアドバイス集

「怒らない接し方」は、他にも「決めつけない」「言うことをひとつに絞る」「子どもをよく観察する」などのコツがあります。最初は本書の事例を頼りにしたとしても、慣れていけば、自分の頭で考え、どんなシチュエーションにも応用していける気がしました。

 その場の感情に任せて怒るのは一瞬の出来事ですが、それが当たり前の環境になって子どももイライラしやすくなったり、自制心を育てられず落ち込みやすくなったりしたら、将来にも良くない影響が出てくるかもしれません。本書のシリーズには『心と体がのびのび育つ0〜2歳児のあそび図鑑』という心強い1冊も。子どもについての「困った!」や「どうしたらいい?」を抱える人には、すぐ役立つヒント集としてこれらの本をおすすめします。

文=吉田有希