『こち亀』が休まず40年間継続した意外な理由! 漫画家・秋本治の仕事術
2019/10/23

2016年に40年続いた連載が終了した『こち亀』こと『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。テレビのニュースにも取り上げられたので、覚えている人も多いだろう。終了したとはいえ、以降も読み切り漫画が描かれるなど愛され続けている作品であり、40年間一度も休まずに週刊連載が続いたことは、まさに驚異的だ。一体、作者はどのようなテンションで40年もの長きにわたって連載を続けられたのか。『秋本治の仕事術 『こち亀』作者が40年間休まず週刊連載を続けられた理由』(秋本治/集英社)は、作者自らが『こち亀』の制作事情を詳細に語る1冊だ。
本書では、秋本氏が「セルフマネジメント術」「時間術」「コミュニケーション術」「発想術」「健康術」「未来術」と、6章に分けて自らの仕事術を紹介。中には一般的イメージの「漫画家」からは程遠い、驚くべきルーティンも多く含まれている。本稿ではその中でも特に気になった項目をピックアップして紹介しよう。
■規則正しい勤務体制こそが理想の働き方
一般的な漫画家のイメージは、「自由業なので好きな時間に起きて、深夜まで仕事をしている」みたいな感じではないだろうか。まあ漫画家に限らず、私のようなフリーランスのライターでも大体同様である。
しかし、秋本氏は違う。氏は漫画制作のために「アトリエびーだま」という会社を設立し、アシスタントは社員として雇っている。それ自体は珍しくないが、ポイントはその勤務体制だ。「勤務時間は9時から19時までと定められていて、昼と夕には食事のための休憩時間が1時間ずつ。残業はなるべく少なく、徹夜はしないという方針」だという。さらに社員は休日もきちんと取り、出退勤はタイムカードで管理。まるで普通の企業のようではないか。
元々、秋本氏はデビュー当初から朝9時に仕事を始めていたと語る。規則正しい生活をキープし続けたことが、長期連載を維持できた理由のひとつだといえよう。
■“現役の力”を信じ、休まずに動き続けたから得られる成果
最近の漫画を読むと、「休載」を挟む作家も多いようだ。休載とは無論、連載を「お休み」することだが、秋本氏は「休載というものを恐れてきました」と語る。氏によれば「少しでも休むと、感覚が時代からズレてしまうのではないか」と思っていたという。なるほど、ヒットを飛ばした作品が終了してしばらく休んだ作家が新作を発表したものの以前ほどのヒットとならないという例もある。そこで『こち亀』終了後に秋本氏が選んだのは、「間髪を容れずに4作品の連載を新たに始めた」ということ。その結果として、新たな作品では「自分でも思いもしなかった世界が描けている感じがする」と手ごたえを感じているそうだ。『こち亀』が終わったからといって、漫画家・秋本治が終わるわけではない。「現役」であることにこだわって、休まずに描き続けているからこそ、たどり着ける境地というものがあるのだろう。
このほかにも、40年間で培われたさまざまな知恵が、本書では明かされている。そして秋本氏は「“好きで好きでしょうがない”と思えることを見つけるべき」だと説く。氏にとって漫画を描くことはまさにそれであり、だからこそ仕事を苦痛だと思ったことはほとんどないという。「好きこそものの上手なれ」とはよくいうが、やはり40年間休まず週刊連載を続けられた最大の理由は「漫画を描くのが好き」ということのようだ。
文=木谷誠
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