セックスレスで家庭崩壊。摂食障害・うつ病を乗り越えて、『夫のHがイヤだった』の著者がたどり着いた答えとは?

恋愛・結婚

2019/11/16

『夫のHがイヤだった』(Mio/亜紀書房)

 どれだけ好きな相手でも、その人とのセックスが「気持ちいい」とは限らない。気持ちのいいセックスには、愛情だけではなく、知識や技術が必要なのだ、ということを『夫のHがイヤだった』(Mio/亜紀書房)は教えてくれる。

 この本は、著者であるMioが、自身が経験したセックスレスの日々をもとに描いた実録エッセイである。もともとアメブロで「夫のHが嫌だった」というタイトルで公開されていたもので、書籍化にともない再構成された。

 大学1年生の頃に出会った彼と、卒業後結婚。社交的で、なんでも美味しそうに食べ、彼女のことを褒めてくれる彼は、彼女にとって愛おしい存在だった。

 しかし、そんな大好きな彼とのセックスが、なぜか気持ちよくないのだ。愛しているはずなのに、挿入されるのが辛い。痛くて耐えられない。しかし、夫は性欲が旺盛な方で、毎晩のように求めてくる。次第に彼女のストレスは膨れ上がっていくのであった。

 恋人や夫とのセックスが「気持ちよくない」人はそれなりに多くいるだろう。相手のテクニックや、身体の相性、自分自身のコンディションなど様々な要因があるので一概には言えないが、彼女の場合は、もはや苦痛といっていいレベルだった。

 セックスだけが愛情表現ではないが、片方が求めているのに拒絶すれば、関係にもヒビが入ってしまう。著者の夫婦関係にも次第に暗雲が立ち込めてくる。

 著者が拒めば明らかに不機嫌になる夫。脅しめいた言葉を吐いたり、家で無視したり、夫のモラハラ的な言動はあまりに多く、読んでいて苦しい。著者も著者で、自分の抱いている違和感や相手に求めていることをうまく伝えられていないこともわかる。お互いのコミュニケーションはずっと不協和音のまま、結婚生活は破滅へと向かっていく。

 当書籍ではベストセラー『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』著者の宋美玄さん(産婦人科医)によるセックスレスについての解説コラムや、著者と女性向けAVの人気男優、一徹さんとの対談も収録されている。単なる辛かった記憶の吐露に終わらず、客観的に過去の日々を振り返り、何がいけなかったのか、その原因まで考えられている点で良書だ。

 夫との別居を経て、彼女は「気持ちのいいセックス」とは何かを学ぶ時間を得ることになる。そして、そこで自分自身の「愛情さえあれば気持ちがいいはずだ」という思い込みが誤りであったことや、正しい知識や技術があれば、愛情がなくてもセックスは気持ちがいいものだということを自らの身体で知っていく。同時に、それまで抱いていた感じることができないことの自己嫌悪からも解放されていくのであった。

 同じような悩みを抱く女性が共感できることはもちろん、セックスをしたがらないパートナーに悩む男性も、女性である著者の視点から見た「気持ちよくないセックスをする夫」の言動から学べることはあるだろう。

 タイトルはなかなか過激だが、最後まで読めば、とても前向きな気持ちになれる本だ。セックスレスに悩んでいる人だけではなく、好きな相手とのセックスが気持ちよくないことにモヤモヤしている人にとっても何か解決の緒が掴めるかもしれない。

文=園田もなか