タイトルが示す本当の意味は?『ハコヅメ 交番女子の逆襲』10巻で物語が動く! 5つの謎と伏線をおさらい

マンガ

公開日:2020/1/25

『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』(泰三子/講談社)

 交番で働く女性警官の日常を描いた『ハコヅメ~交番女子の逆襲~』(泰三子/講談社)。交番の仕事風景はもちろんのこと、取調室での駆け引き、警察学校での訓練、プライベートで合コンするときの作法など、女性警官のオン・オフをあますことなく知ることができる、お仕事漫画です。

 新任として交番勤務することになった、川合麻衣。そこで指導員である藤聖子巡査部長と出会います。後輩刑事へのパワハラで、刑事部から交番に飛ばされたという藤とペアを組むことになった川合は、ときに悩み、葛藤しながら、一人前の警察官になっていくという、成長ストーリーです。

 刑事課エースの源、熱血だけど天然の山田、新選組を愛する牧高、くノ一捜査官のカナら、個性豊かな警察官たちが物語を盛り上げます。

advertisement

 さて、これまで一話完結型のギャグ回がメインで、たまに社会問題を取り上げるシリアス回を挟む程度だった『ハコヅメ』ですが、2019年11月末に発売された10巻で、物語が大きく動くという、衝撃の展開が起きました。

 さらに、過去のギャグ回の中にも、物語の重要な伏線が紛れ込んでいたことが発覚し、読者たちを驚かせています。

 11巻発売の前に、『ハコヅメ』の謎と伏線についておさらいしてみたいと思います。

●藤部長はパワハラしていなかった?

 藤について、「後輩刑事へのパワハラでここの交番(ハコ)に飛ばされたらしい」と聞いていた川合。ところが、同期の警察官から「(藤が)パワハラで異動ってなんの話だ?」と言われます。川合はそのときはじめて、藤がパワハラで異動になったわけではないということに気が付くのです。元々、刑事課のエースだった藤が、交番に異動したかった理由とは一体なんなのでしょうか? そして、川合に嘘の理由を伝えたのはなぜなのでしょうか?

●ロッカーに入ったままの“ハコヅメ”

 タイトルにもなっている“ハコヅメ”。長らく、“交番(ハコ)勤務”を意味する言葉として使われてきましたが、これがミスリードだったことが10巻でわかりました。

 どうやら藤が初登場時に持っていた段ボール=箱詰めが、物語の鍵になっているようです。まさか初登場シーンにそんな伏線が張ってあったとは。

 この箱詰めには「犯人の目星が入っている」と藤は言います。恐らく、藤は何かしらの事件を追って、この交番にやってきたようです。箱詰めの中身が気になります。

●明らかになった4人目の同期の存在

「大豊作の年」と呼ばれる藤の同期は、「4人」いるという設定です。

 しかし、作中登場したのは、オリンピック選手崩れの松島と、県警一の美貌を持つ桃木のみ。もう一人いるはずなのに、姿どころか、名前すらも長らく謎でした。作中、意図的に顔が隠されていたのです。

 しかしついに、10巻に収録されている特別編で、その存在が明らかになりました。4人目の同期の名前は、桜。優秀な藤たちとは違い、成績は悪かったようですが、周囲からの信頼は厚かった様子。警察学校を卒業するところまでは描かれているものの、その後桜がどうなったかは、まだ描かれていません。

●藤たちがロングヘアーにしている理由

 藤、松島、桃木は、初登場時から3人揃って、背中まで伸ばしたロングヘアーでした。「警察官なのに珍しいな」と思った方、鋭いですね。実はこの髪型にも理由があるようなのです。警察学校の卒業式、桜は藤たちに「ロングヘアーとスカートで同期女子会をしたい」とお願いをします。髪は短いほうが楽だと言う藤たちに「最初の同期女子会が終わったらすぐに切っていい」とさらに食い下がるのです。

 卒業後、何年も経っているにもかかわらず藤たちの髪が長いままなのは、最初の同期女子会が未だ開催されていないことを意味しているのだと思われます。ただ単に先延ばしになっているだけなのか、それとも開催できない理由があるのか、気になるところです。

●川合に期待される似顔絵の能力

 何の取り柄もないように見えた川合ですが、3巻の「大麻と似顔絵」の回で、ある能力を開花させます。それが似顔絵です。絵そのものは下手くそでも、人の顔の特徴を掴むことに長けている川合の似顔絵は、“誰を描いたか”がわかる絵として評価されます。その能力に目をつけた源は、川合に似顔絵捜査の練習をさせるのですが、それには何やら事情があるようで…。川合の似顔絵捜査と、藤の追っている事件が何やらリンクしそうな気配です。

 藤はどうして川合に嘘をついたのか、同期の桜は今どうしているのか、源は何を知っているのか、そして箱詰めの中の“犯人の目星”とは? 次の巻ですべての謎が明らかになるのでしょうか。ただのギャグ漫画じゃなかった『ハコヅメ』。気になる11巻は、1月23日に発売予定です!

文=中村未来(清談社)