「おなら」は子供たちの挨拶代わり? 大人も魅了し続ける「おなら」のヒミツが盛り沢山!

出産・子育て

2020/2/5

『への本 おなら大百科』(オナラファクトリー/ポプラ社)

 以前、遠くに住む女友達の子供とビデオチャットしたことが有る。その子は当時5歳の元気な男の子で、悪い言葉も覚えるころ。初めてのビデオチャットに興奮したのか、開口一番「おならぁ!」のひとこと。これには女友達も苦笑いしつつたしなめていたが、すぐには止まらず「おならぁ!」の連発だった。小学生以下の子供たちにとって「おなら」は挨拶代わりなのだ。

『への本 おなら大百科』(オナラファクトリー/ポプラ社)は「おなら」のヒミツがたくさん詰まった一冊である。勿論、ただの下ネタではない。医学的側面から見るその特性やことわざに民話、さらにはかの「ごんぎつね」で知られる作家・新見南吉が満州で日本語新聞に連載していた短編小説「屁」も掲載。こんなに深い「おなら」の世界を子供だけに独占させるのはもったいない。我々大人も、ジックリ読んで子供たちに伝える側に回りたい。

 始まりの章は「おならのヒミツ四十連発」だ。「おなら」にまつわる雑学コーナーであり、子供たちにとってはとても好奇心を刺激されるだろう。これを学んだらきっと友達に話したくて仕方ないはず。とはいえ、我々大人が職場などでこの雑学を自慢げに語るのはあまり喜ばれはしないだろうが……。しかし、中には健康にまつわる知識もあり、覚えておいて損はない。ここでは小生が気になった3本を紹介する。

【おならは1年で500リットル】
「おとなは1日に15回から20回、約1.5リットルのおならをします。これを計算すると1年では500リットルをこえ、家にあるおふろ2つ分より多い量です」

 意外に多いと感じたが、腸内環境によってはもっと増えるかも知れないという。大人同士ではお互いの回数など確認しないだろうが、子供たちはゲラゲラ笑いながら回数を競いそうである。

【くさい成分は1%】
「くさいおならはどうしてできるのでしょう。それは、腸内細菌のなかの悪玉菌がタンパク質を分解し、くさいにおいのもとになるガスをつくるからです。このガスは、おならの1%もありません」

 臭いことが「おなら」の本質だと思っていたが、その原因はわずか1%の成分でしかないのは実に意外な話。また悪玉菌こそがタンパク質を分解し栄養へと変えているという重要な事実も紹介されている。

【宇宙ステーションでのおならマナー】
「地球ではつねに空気が動いているので、おならのにおいはいつのまにか広がってきえていきます。しかし、宇宙ステーションでは地上のようにはいきません。そのため、宇宙飛行士たちはにおいでめいわくをかけないよう、なるべくトイレでおならをするようにしています」

 閉鎖空間かつ窓も開けられない環境ゆえ、実に大変そうだ。なお、宇宙服の中で「おなら」をすると、密閉されているために自身の臭いが充満するとのこと。うん、想像はしてた……。

 また最終章に掲載された新見南吉による「屁」は、小学生の「春吉君」が、クラスの「おなら名人」である「石太郎」や、町から赴任して来た若い「藤井先生」を通して、狡猾な「おとなの世界」を知る物語である。序盤こそユーモア小説のようだが、読後は少し胸に痛みを感じるのでは。子供のいる家庭では、是非とも親子一緒に読んで、感想を語り合ってほしい。

 他にも「おなら」に関する民話やことわざも集められた本書。これらは紛れもなく大人たちが語り継いできたことだ。案外と大人になっても「おなら」に対する「愛着」ともいうべき感情は、誰もぬぐい切れないのではないかと思う。本当に忌むべき行為なら、ここまで表現豊かにユーモアを交えて語り継ぐことはないだろう。子供だけでなく、大人も「おなら」をきっかけに広がるコミュニケーションがある──のかな?

文=犬山しんのすけ