たった1日で改善することも? “あの野菜”を毎日50g食べると花粉症が改善する!? 東大名誉教授が提案する驚きの花粉症対策法

健康・美容

更新日:2020/5/11

『花粉症は1日で治る!』(小柳津広志/自由国民社)

 今年も花粉の飛散が予想される。またあの苦しいアレルギー症状に悩まされるのかと思うと、ため息が出る。

 そんな花粉症患者に朗報がある。『花粉症は1日で治る!』(小柳津広志/自由国民社)に助けを求めれば、辛い花粉症が今年は改善できるかもしれない。著者は東京大学名誉教授で農学博士、微生物学博士の小柳津広志氏。腸内微生物と微生物系統進化の分野で“引用度の高い英語論文”を多数発表しており、アレルギー研究では国内屈指を誇る世界的権威だ。

 そんな小柳津氏が本書で語る花粉症改善のヒントは、腸活だ。そう聞くと、なじみのある「ビフィズス菌」を思い浮かべるが、花粉症改善の場合は違う。腸内細菌のひとつであり、本書で大きく取り上げられる「酪酸菌」が花粉症改善のカギとなるのだ。

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■花粉症とは免疫細胞が起こす炎症のこと

 まずは花粉症のメカニズムをみていこう。辛い花粉シーズンになると、みんな病院や薬局に駆け込み、薬を飲んでアレルギー症状を鎮めようとする。では、なぜ薬を飲むと花粉症が和らぐのか。それは体の免疫細胞が起こす炎症を抑えられるからだ。

 人の皮ふや粘膜に存在するマスト細胞は、口や鼻から侵入した花粉を認識すると、大量のヒスタミンを放出する。ヒスタミンは鼻を刺激して鼻水を出させ、目を刺激して痒みを生じさせ、クシュンッ! と苦しむことになる。

 病院や薬局で入手できる抗ヒスタミン薬は、これらのアレルギー症状を和らげてくれるが、あくまで対症療法だ。花粉症を根本から治してくれるわけじゃない。

 そこで小柳津氏が目を付けたのが、私たちの腸にすむ「酪酸菌」だ。

■良好な腸内フローラは炎症を強力に抑える

 人間の腸内には100兆個の細菌がすんでおり、腸内細菌の種類はなんと1000に及ぶそうだ。そして腸内の細菌の種類と構成割合、つまり「腸内細菌の生態系」のことを「腸内フローラ」と呼ぶ。

 この腸内フローラが良い状態になれば(良い菌が増えれば)お腹の調子も良好になり、反対に悪い状態になれば(悪い菌が増えれば)お腹の調子も悪くなるとされる。

 小柳津氏は本書で、免疫細胞が起こす炎症について解説している。私たちの体は驚くほど複雑かつ巧みな仕組みで成り立っており、さまざまな細胞が働きかけ合うことで体中の悪い細胞や菌をやっつける。そのとき体に起きる変化が「炎症」であり、痛かったり痒かったりするアレルギー反応が出る。

 小柳津氏は炎症の仕組みを説明したうえで、こう述べている。

じつは、良好な腸内フローラはこれらのさまざまな炎症を強力に抑えています。

 腸内フローラは、お腹の状態に作用するだけでなく、体中のアレルギー症状にも作用するというのだ。その理由に、免疫機能として人間の体の中で働く「Tレグ細胞」が挙げられる。

 Tレグ細胞には炎症抑制の役割があり、免疫の暴走を抑える作用があると考えられている。そのメカニズムは今も判明していないが、Tレグ細胞の増加がアレルギー症状の改善に役立つと小柳津氏は指摘。

 そしてTレグ細胞の生成に関わっているのが酪酸であり、それを作りだしているのが、腸内細菌の一種である「酪酸菌」なのだ。