ツイッター民を喜ばせる「姉さん」のテクニック。地味な文具メーカーがフォロワー37万人を抱えるようになったワケ

ビジネス

2020/4/13

『寄り添うツイッター わたしがキングジムで10年運営してわかった「つながる作法」』(キングジム公式ツイッター担当者/KADOKAWA)

 キングジムという会社をご存じだろうか。キングジムは、オフィスでよく使われている「キングファイル」やラベルライター「テプラ」で知られる文具メーカーだ。一見、目立たない文具メーカーのようにも思えるが、公式アカウントのフォロワー数はなんと37万人。ツイッターをやっている人ならよく知っているかもしれない。中の人は、「キングジム姉さん」と呼ばれ親しまれている。どうしてここまで広く支持を集めるようになったのだろうか。
 
『寄り添うツイッター わたしがキングジムで10年運営してわかった「つながる作法」』(キングジム公式ツイッター担当者/KADOKAWA)は、この「キングジム姉さん」による本で、担当者ひとり・予算ゼロからスタートしたアカウントが、試行錯誤しながらフォロワーを増やしてきた裏話が語られる。ツイッターという、いわば正攻法マニュアルのない業務に、「姉さん」はどう立ち向かったのだろう。

目先の利益よりも「楽しんでもらうこと」が大事

 企業の公式アカウントというと、商品やサービスの「宣伝」ばかりを意識してしまいがちだ。もちろん、アカウントを運営する最終目的は「企業の利益」。だが、普段の宣伝とは意識するポイントが違う。「○○億円の予算を掛けて、××円の売り上げを目指す」といった他の広告戦略とは異なり、ツイッターの効果はもっと長期スパンで考える必要がある。まずはお客さんに楽しんでもらい、ふとしたときに会社名や会社の商品を思い出し、買ってもらう。それくらいどっしり構え、つぶやいているそうだ。

「おやつイート」で長寿化を目指す

 キングジムアカウントの定番ツイートのひとつに、「おやつイート」がある。名前から想像つく通り、担当者が今日のおやつをつぶやくのだが、もはや文具とはまったく関係はない。だが、想像以上に反響があるという。著者によれば、アカウントのイメージは、「ご近所のキングジムさん」。まるでご近所さんにお裾分けするように、お菓子の話題で盛り上がる。顔の見えない企業が行う「おやつイート」が、お客さんとの距離をぐっと縮めるのだ。

「ツイッター映え」する写真加工法とは?

 企業アカウントとして投稿する画像は、「しっかりしたものじゃなければ」と肩ひじを張ってしまいがちだ。だが、インスタグラムと違い、ツイッターに載せる画像は「パッと撮ってパッと上げました」という“雑味”も魅力になるという。たしかに、ゆるめのツイートにキメキメの画像が付いていたら、なんだかちぐはぐだ。

 こちらは著者がセブンイレブンの「きみのプリン」に、テプラで「お前のじゃない」と貼り付けた写真。誰かにおやつを食べられたくないという身近な気持ちを、自社商品で主張するおかしさがうけ、たくさんの「いいね」がついた。この写真も、ほとんど撮ったままで投稿したという。

 本書にはこの他にも、発信のタイミングや、パッと見でわかりやすい投稿の工夫など、キングジムの担当者が10年かけてたどり着いた考え方がぎゅっと濃縮されている。企業のツイッター担当者はもちろんのこと、日々自分のSNSを更新する個人にとっても役立つ内容ばかりだ。文具とツイッターのことなら、ぜひ「キングジム姉さん」を頼ってほしい。

文=中川凌(@ryo_nakagawa_7

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