自炊疲れ? ならば、ごはん作りの気分を盛り上げる“ちょっとした”ひと工夫を!【作ってみた】

暮らし

公開日:2020/4/18

『ひとりごはん日和』(堤人美/成美堂出版)

 新型コロナウイルスの影響で外出自粛を求められる今、人と会う機会も減って毎日が単調化しやすい状況にある。ひとり暮らしであればなおさら、誰とも会わない、話さない、という日が増えているはず。そんな中で気分を上げるには、少しずつ「楽しみ」を見つけたり作ったりしていく必要がありそうだ。
 
 そこでオススメしたいのが、ちょっとだけ「食」にこだわってみるという方法。『ひとりごはん日和』(堤人美/成美堂出版)は、ひとり暮らしの食事を自由で楽しいものにしてくれる素敵なレシピ本。私たちはついつい「簡単レシピ」ばかり検索してしまいがちだが、ときにはこういうレシピ本をヒントに、ごはんを作る楽しみを探求していくのも大切なことだ。
 
 とはいえ、手に入りづらい食材を使ったり、やたらと難易度の高いことをしたりするわけではない。いつもの食材や調味料に“工夫”をプラスする、というのがこの本の基本スタンス。お買い物で遠出をする必要もなく、安心してチャレンジできる。ページをめくる度においしそうな料理が登場して食欲をそそられるので、早速筆者も作ってみた。

「手羽中焼き 山椒ねぎのせ」(本書8ページ)


 1つめは、「手羽中焼き 山椒ねぎのせ」。ねぎは斜め切りにしておく。手羽中に醤油と酒をふりかけ、フライパンで皮目から焼く。裏返してさらに焼き、器に盛って細ねぎを乗せ、粉山椒をふって完成。
 
 下味は醤油と酒のみのシンプルな味付けだが、だからこそ山椒のしびれる風味が活きて食がすすむ。皮目からしっかりと焼いているので余分な油が落ちて香ばしくなり、油っこいものがあまり好きじゃない人にもオススメし

たい1品。手羽中は骨付き肉の中ではかなり食べやすい部類なので、レパートリーを増やしておくと何かと便利そう。

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「ほたてのオレンジマリネ」(本書14ページ)


 2つめは、「ほたてのオレンジマリネ」。作り方はとっても簡単で、半分の厚みに切って塩をまぶし、水気を拭いたほたて、セロリ、オレンジ、オリーブオイル、輪切りにした青唐辛子、みじん切りにした紫玉ねぎをボウルで和えるだけ。
 
 こんなにシンプルな味付けでいいの!? と少し不安だったが、ほたてのうまみと塩気、オレンジの爽やかな酸味と甘さ、セロリの爽やかさがうまく相乗効果を生んで、物足りなさはまったく感じない。オリーブオイルの風味が、クセの強い野菜をうまくまとめあげていておいしい!! フルーツを料理に入れるの…? と躊躇する方にもぜひオススメしたい。

「しらすとパルミジャーノ のりトースト」(本書30ページ)


 最後は、「しらすとパルミジャーノ のりトースト」。食パンにオリーブオイルとにんにくを塗り、さっとあぶったのり、しらすを乗せてこしょうをふって、オーブントースターで焼く。あとはパルミジャーノを散らしてオリーブオイルをかければ完成。
 
 しらすの塩気とにんにくの刺激にはバターを合わせてしまいがちだが、実はオリーブオイルも相性抜群。普段「人に会う予定があるからにんにくは…」という人も、外出自粛の日なら使い放題なので、今こそチャレンジしたいメニュー。オリーブオイルはちょっと良いものを、と書いてあったので、筆者のお気に入り「カスティージョ・デ・タベルナス0.1」を使って作ってみた。こうした“ちょっとした贅沢”をしやすいのも、ひとりごはんならでは。

 作ったどのメニューも、普段使い慣れている食材の組み合わせでありながら新しい発見があり、作っている途中でも味を確認しながらワクワクしてしまった。毎日必ずやってくる「食事の時間」を意識的に変えていくことで、単調な日々もグッと楽しいものになる。この『ひとりごはん日和』は、そんな大切なことを改めて教えてくれる。

調理、文=水音(月乃雫)