「塾をやめてみませんか?」子どもの幸せの形を考え直すべき大きな理由

出産・子育て

2020/4/29

『マンガでわかる 今日から塾をやめてみた』(宝槻泰伸:監修、ナナイロペリカン:マンガ/主婦の友社)

 中学受験熱が高まる一方だ。「受験する!」と決めたら通塾だ。他方、受験を考えていなくても、通塾させる家庭は少なくない。中学受験をしなくても高校受験があるし、兎にも角にも学力が高ければ将来困ることがない、子どもが幸せになってくれる、と考える親が多いからだ。

 受験をするにしてもしないにしても、塾に通ってくれたら子どもの将来はとりあえず安心。そう考えるのはもう時代遅れかもしれない、と問題提起をするのは『マンガでわかる 今日から塾をやめてみた』(宝槻泰伸:監修、ナナイロペリカン:マンガ/主婦の友社)。本書は、私立中学を受験する予定なら通塾を否定しない。しかし、とりあえず学力を高める目的での通塾には警鐘を鳴らす。「塾に入れる」ことと「幸せな人生を歩む」という結果は因果関係がないばかりか、すでに「学力こそ生きる力」という古い方程式は次のような新しい方程式に取って代わりつつあるからだ。

 それどころか、古い方程式に子どもをはめ込むことでむしろ人生を不幸にしてしまうケースがある。どんな親も「無理やり子どもを塾に通わせている」という形にはしたくない。子どもが進んで、できれば楽しみながら塾に通ってくれることを願っている。子どもも千差万別だ。将来の目標や夢のために塾に熱を上げる子どももいれば、純粋に勉強が好きな子どももいるかもしれないが、大半は通わざるを得ないから通う。周囲に流され、親に言われてなんとなく塾に通う子どもは、塾内の厳しい競争やプレッシャーで、体調を崩しがちになる。そして、親が気づかないうちに、子どもに大きな心の傷を負わせていることがある。

 本書によると、通塾をせずとも、子どもの幸せな人生を望むことができる。キーワードは「探究」だ。教育の世界では浸透している「探究」だが、多くの親は知らない単語かもしれない。探究的アプローチの学習では、子どもは自分でテーマを見つけ、自分の興味の赴くままに学びを深めていく。その過程で、さまざまな知識と思考を得る。本書は、教育界では有名な京都市立堀川高校の躍進“堀川の奇跡”を例にとり、探究の効果を紹介している。堀川高校は、1999年に探究科を新設し、国立大学に100人前後の合格者を出すようになり、京都市きっての進学校となった。その探究科では、「自分が好きなことを自由に研究していい」という時間が通常の授業に加えて設けられ、おのおのが興味関心のある学びを深めているという。

 探究学習は、さまざまな学校で注目されたり取り入れたりされつつあるが、まだ発展途上の感もある。本書は、探究の魅力を伝えるとともに、家庭で取り入れられる探究のエッセンスをふんだんに紹介している。探究によって自分の武器を磨いた子どもは、必ずしも通塾に依らなくても、人生をたくましく切り拓いていきそうだ。

文=ルートつつみ

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