博物館の全身骨格に想像力で肉付けを! 『恐竜 骨ぬりえ』が夏休みを楽しくする【やってみた】

出産・子育て

公開日:2020/7/30

恐竜 骨ぬりえ
『恐竜 骨ぬりえ』(岡田善敬:構成、小林快次:監修/KADOKAWA)

 新型コロナが落ち着く気配がない。夏休みは親子で遊びに行けるチャンスだが、今年はおとなしくしていようと考えている家庭は少なくないだろう。

 それなら、せめて家庭で「行った気」になってみよう。子どもは恐竜が大好きだ。国内にいくつかある恐竜博物館には、一部の骨だけでなく全身骨格まで展示されているところがあり、子どもたちは「どんな体だったのかな?」「なにを食べていたのかな?」と想像力をフル活用して、気持ちを高める。そんな恐竜大好きキッズにおすすめしたいのが、新しい試みがおもしろい『恐竜 骨ぬりえ』(岡田善敬:構成、小林快次:監修/KADOKAWA)。ぬりえに描かれた恐竜の線画に色を塗って姿を再現するのではない。なんと、全身骨格標本をもとにした骨に、自分で想像力を働かせて肉付けしていくのだ。

 本書のトップバッターは、恐竜の王者・ティラノサウルス。博物館による全身骨格標本写真の提供協力、岡田善敬氏の構成とデザインによって、全身骨格が掲載されている。実際に博物館に行ったらこれと出会えるのか、と子どもが思わず興奮するリアルさだ。ページ下には、収録恐竜の選定も行った「ダイナソー小林」で有名な北海道大学総合博物館の小林快次先生による食性、全長、くらしていた場所などの簡単な説明が添えられており、子どもが骨から肉付けされた恐竜の姿を想像しやすい仕組みになっている。

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恐竜 骨ぬりえ p.6-7

 本来のティラノサウルスを再現しなくて良いのか? 自分勝手に恐竜の姿を想像しても? 本書はイエスと答える。そもそも、いま知られている恐竜の姿は、さまざまな研究をもとに想像してつくられたもの。新しい発見があったり、研究が進んだりするたびに、姿を変えてきたのだ。本書は、恐竜の一番の魅力を「わからないことがたくさんあること」としている。骨や情報から、わからないなりに好きに恐竜を思い浮かべて塗る。これが本書の楽しみ方だ。

 しかし、自由に塗って良いといわれればかえって難しい、という子どもがいるかもしれない。そのときは、図鑑や絵本、Webで調べてみよう。本書には、いま生きているさまざまな動物の目や口などを掲載した「生き物パーツ図鑑」が付いており、これを参考にしてみても良さそうだ。

 骨のかたちをしっかりと見て、体の輪郭を想像し、色を塗っていく。どんな模様だろう? この恐竜はどこで、なにをしている最中だろう? こうしてイメージした恐竜が、もしかしたら後に学説の変更で、そのとおりになるかもしれない。本書を通して恐竜への興味を深めれば、博物館へ行きたい気持ちが高まり、実際に足を運んだときには、得るものがより大きくなりそうだ。

 実際に、2人の小学3年生に、カムイサウルス(別名「むかわ竜」)を塗ってもらい、保護者の感想を聞いてみた。ちなみに、カムイサウルスは北海道むかわ町で発見された日本発の新種恐竜で、名付け親は本書監修の小林教授だ。

恐竜 骨ぬりえ p.34-35

【瀧川さん/3年生(男子)】

恐竜 骨ぬりえ
瀧川さん/3年生(男子)のカムイサウルス

<保護者の声>
 息子は絵を描いたりぬりえをしたりするのが好きですが、気分屋で集中するのにスイッチが必要です。このぬりえを見せたときは、「どんなふうに塗るの?」ってイマイチ乗り気ではなかったようですが、一緒にページをめくりながら、「この子の名前って、なんだろうね?」と問い掛けてみると、「カムイサウルスだって。カムイくんやなぁー」と名前を付け、興味をもってきたようでした。

 本に付いている生き物のパーツを見て、「いろんな形があるんだね」と感心しながら参考にしていました。「どの色がいいかな?」「こんなりんかくがいいかな」とつぶやきながら塗り進めるうちに、「俺はぬりえの天才やからなぁ」と自分の世界に入っていきました。

 頭の中で、いろいろと姿を描いていたんだと思います。塗った後は、「もっと恐竜の映像を見たい」「恐竜博物館に行きたい」と言いました。実際に、博物館に足を運びました。親としても、いろんな種類の恐竜がいるんだな、と勉強になりました。

【大倉さん/3年生(女子)】

恐竜 骨ぬりえ
大倉さん/3年生(女子)のカムイサウルス

<保護者の声>
 恐竜が好きな娘で、このぬりえはピッタリだと思いました。親子で恐竜図鑑を見ながら、イメージを膨らませていきました。図鑑にカムイサウルスは載っていませんでしたが、鳥脚類のヒプシロフォドンのなかまの姿がカムイサウルスとなんとなく似ていて、娘は「こんな感じかな?」と参考にしながら塗っていました。図鑑の使い方の勉強にもなったようです。

 植物食ということで、イメージはキリンだそうです。周りに敵がいないか注意しながら、食べ物を食べているシーンだそうです。

 3歳の妹もお姉ちゃんの様子に興味をもって、別のページをカラフルに塗りたくっていました。家族での良い体験になりました。

 

 この夏、家の中から博物館へ、さらには恐竜が生きていた世界へ、想像力の羽を羽ばたかせて旅行してみてはいかがだろうか。

文=ルートつつみ(@root223

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