男性育休義務化間近!? 育休中の収入や企業による制度の違い…不安や疑問を今解決しよう

ビジネス

公開日:2020/10/2

『男性の育休 家族・企業・経済はこう変わる』(小室淑恵、天野妙/PHP研究所)

 あなたの周りに、育休を取得した経験のある“男性”はどれくらいいるだろうか?
 
 育休は決して出産をする“女性”だけのものではない。現在の男性の育休取得率はわずか7%だが、近い将来、男性の育休は義務化される可能性がある。「休むと周りに迷惑をかけてしまうのでは…」と思う人も多いだろうが、それは単なる誤解かもしれない。
 
『男性の育休 家族・企業・経済はこう変わる』(小室淑恵、天野妙/PHP研究所)は、男性の育休にまつわる誤解や、私たちの働き方や暮らしへの影響について詳しく教えてくれる。

育休中の収入はどうなる? 大企業じゃないと育休制度はない?

 昨今、国会で男性の育休義務化に向けた議員連盟が立ち上がるなど、その実現は現実味を帯びてきた。企業では、働き方改革やイノベーションの創出においても男性の育休は大きな影響を持つといわれている。


 家庭に目を向ければ、産後の女性の10人に1人は、産後うつを発症するとされており、「産後クライシス」にも陥りやすい。一方で、男性が育休をきっかけにして育児や家事のスキルを高め、「社会進出」ならぬ「家庭進出」を果たせば、長期的にポジティブな効果をもたらすことができるだろう。

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 男性の育休にまつわる大きな誤解のひとつは、「育休で収入がなくなったら生活が立ち行かない」というものだ。小室さんと天野さんは、“平均的な会社員なら9割程度の手取り収入が保障される”と指摘する。条件によって月給の67%が支給される上に、社会保険料は免除、さらにはランチ代や飲み会代など出社に伴う出費が減ることもあるため、実質的に9割程度が確保できるというのだ。なお、こうした手当は会社ではなく雇用保険から出るため、「会社に出費をさせてしまうのでは」といった心配は不要だそう。

 また、「大企業にしか男性育休の制度はない」という誤解も多い。しかし育児・介護休業法では、企業の規模や性別に関わらず、申請すれば育休を取得できることが記載されている。就業規則に定められていなくても、育休は取得できるのだ。また、業務に支障をきたすのではという心配も多いが、小泉進次郎氏が閣僚初の育休を取得した際には、“重要な会議だけはリアルで参加、他の業務はオンラインで参加し、残りの時間を自宅で育児に充てる”という方法を取った。男性育休も次第に柔軟な取り方が可能になっているのである。

 女性だけが育休を取る時代は、もう終わったといえるかもしれない。男性の育休にまつわる状況は、この先も待ったなしで変化していく。本書を読み、時代の空気をしっかり掴んでおくことをおすすめしたい。

文=えんどーこーた