SNSでじゃんじゃん人とつながってしまい、人との距離感をどう取ればいいか不安になった人へ

暮らし

公開日:2020/11/2

こころのソーシャルディスタンスの守り方
『こころのソーシャルディスタンスの守り方』(大嶋信頼/主婦の友社)

 コロナ禍で在宅勤務、自宅待機など、リアルに人と会う機会が減った一方で、SNSなどで「友達」が増えたという人も多いでしょう。友達申請されてつながって、最初は楽しかったけれど、急に自分の気持ちにずけずけ入ってくる。と思えば、いつの間にかいなくなっている、なんて経験はないでしょうか? 「よく知らない大勢」とかかわりを持つ、これからの生活に大切なのは、人との距離の取り方。『こころのソーシャルディスタンスの守り方』(大嶋信頼/主婦の友社)は、他人から不用意に傷つけられないように、自分のパーソナルスペースにむやみに人を入らせない方法をていねいに解説した1冊です。

 人との精神的な距離が適切にとれるようになると、「不安や不快感から解放された!」と感じられ、「どんどん自分のために使えるエネルギーがたまっていく!」となって「自分がやりたいこと!」ができるようになってくるはず、と著者で超人気心理カウンセラーの大嶋信頼氏は言います。

こころのソーシャルディスタンスの守り方

多くの人とつながってしまう現代は、人とちょうどいい距離を取らないとしんどい

 本書は、「身体のソーシャルディスタンス」だけでなく「こころのソーシャルディスタンス=パーソナルスペースを守る」ことも重要な時代になってきている、と説いています。

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 とくに、「優しい人」「空気を読みすぎる人」「繊細な人」だと少しでも自覚しているなら、この「こころのソーシャルディスタンス」を知っていないと心を攻撃され続けてしんどくなる一方なのだとか。

こころのソーシャルディスタンスの守り方

いつの間にか受けてしまう「受動攻撃」に注意

 例えば、SNSで友達になったと思ってコミュニケーションを取っていたら、いつの間にやら音信不通になったりブロックされたり、ということがあります。そんな時に「どうしてあの人は去ってしまったのか?」と考えてしまう人は、「私には価値がないから相手が連絡をくれなくなったのでは?」などと自分に原因があると考えて傷ついてしまう。それはなぜでしょう。

「音信不通」や「突然去ってしまう」という行動には、「受動攻撃」という側面があるため。怒りを直接的には出さないで、「無視」とか「やるべきことをやらない」、そして「あなたのせいで憂鬱な気分になったと装って相手を困らせる」など、後ろに引くことで他者を攻撃します。受動攻撃をする人というのは「常に相手の気持ちや行動を想像する」という思考回路の持ち主で、「直接、自分が思っていることを言ったら、相手がどんな反撃をするかわかるから怖くて言えない」と思っているから受動攻撃をします。ふつうだったら、言葉で相手の気持ちを確認するところを、勝手に「あの人は私の気持ちをちっとも考えてくれない」と想像し、確信を持ってしまい受動攻撃をしかけてくるのです。攻撃された方は「こちらの気持ちを勝手に想像される」というパーソナルスペースを侵害されてダメージを受けてしまう、というわけ。

こころのソーシャルディスタンスの守り方

自分の心を守ってくれるフレーズも多数紹介

 人は繊細であればあるほど「パーソナルスペースを攻撃してくる人のことが頭から離れられない」となってしまうのですが、これは一種「脳がアレルギー反応のように活発に活動」してしまうから。それにより、かえって攻撃に敏感になってしまうそう。本書では、そんな時に心の中で唱えると気持ちが静まるフレーズを多数紹介しています。

 例えば、「相手は哀れみを求めている」というフレーズ。子どもはかまってほしいときにパーソナルスペースに侵入してきてちょっかいを出してきます。これには「ひとりで寂しかったのね。かわいそうに」と哀れまれることで「赤ちゃん返り」をして「お母さんのおなかの中に戻れる」という効果があります。パーソナルスペースに侵入してくる人も、こころの奥底でお母さんのおなかの中の安心感に戻れることを求めています。パーソナルスペースに侵入したときに、相手から「げ~~」と眉をひそめられます。あれは「軽蔑」なのですが、パーソナルスペースに侵入してくる本人にとっては「かわいそうな人」という哀れみに思えてしまう。だから相手からしかめっ面をされれば「哀れみ」をたくさんかけられたことになり、ますます「お母さん!」という感じで母の体内に戻ることを求めてパーソナルスペースに「どんどん侵入してくる!」となるのです。

 脳にはミラーニューロンという細胞があります。こちらの脳の状態で「この人、パーソナルスペースに侵入してきて気持ち悪い」と思えば、それが相手の脳に伝わって「気持ち悪いパーソナルスペースへの侵入が止められない!」となるわけです。そこで「相手は哀れみを求めている」とか「この人は哀れみを求めている」と頭の中で唱えると、脳のマネをするミラーニューロンで相手の脳に伝わって、「私、そんなことを求めているんだ」とショックを受けてあなたのパーソナルスペースに侵入できなくなる効果があるのだとか。

 リアル、ネットと人間関係がより複雑になったいま、誰をどこまで信用していいの? と少しでも感じたことのある人には必ず助けになるはずです。読めば、誰よりも優しく、繊細な人に安らぎを与えてくれることでしょう。