カップルの仲を裂こうとしている“邪魔者”とは? 規格外の薬剤師コンビが患者の悩みを解決!――元薬剤師漫画家が描く『処方箋上のアリア』

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公開日:2021/4/11

処方箋上のアリア
『処方箋上のアリア』(三浦えりか/小学館)

 市販薬や医師から処方される薬は、正しく服用すれば薬にもなるし、飲み方を誤れば毒にもなる。身近すぎて忘れがちですが、命にも関わる重要な存在です。

『月刊!スピリッツ』(小学館)で連載中の『処方箋上のアリア』(三浦えりか/小学館)は、薬を通してつながる人々の人間模様を描くヒューマンドラマ作品です。

 舞台は、病院やクリニックが出した処方箋の調剤を行う「亜理亜薬局」。薬局長と新人薬剤師のふたりで切り盛りしていますが、近所にクリニックや病院がないため、集客に苦労しているようす。たしかに病院やクリニックを受診したその足で薬局に行く人が多い印象があるので、近所に病院がない亜理亜薬局はなかなか厳しい状況かもしれませんね……。

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 その一方で、亜理亜薬局がひっそりと佇んでいるからか、訪れる患者さんも一癖ある人ばかり。たとえば、夜に寝ると必ず泥棒に入られるせいで不眠症になってしまった男性や、「ここでバイアグラは買えますか?」と思いつめた表情で尋ねる女性など、とにかくワケあり感満載の患者さんが次々に来局します。

 そんな彼らの悩みを薬剤師の知識を駆使して解決してくれるのが、薬局長の麻生葛、その人です。ただ、麻生さんは患者たちに輪をかけた曲者。長い前髪で右目を隠し、患者にも医師にもぶっきらぼうな態度で接します。しかし、その態度や風貌とは裏腹に患者の悩みに真剣に向き合ってくれる……孤高の薬剤師なのです。一見かなりとっつきにくそうな麻生さんですが、どうやら困っている人を見捨てられない性分のようです。

 苗実という女性が、不安そうな表情で亜理亜薬局に来局したときのこと。その際彼女は、うつ病と診断された彼氏の処方薬を持っていました。事情を聞くと、処方薬を飲んでから彼氏のうつ症状が悪化した、とのこと。その言葉を聞いたとたん、麻生さんの目つきが変わり、新人薬剤師の浜菱とともに苗実と彼氏が住むアパートを訪れます。

 荒れ果てた部屋を掃除しながら、ゴミを改める麻生さん。部屋の掃除が終わったあとは、彼氏が働いているコンビニも訪れて、彼が捨てた2本のエナジードリンク缶を持ち帰ります。さらに麻生さんは独自調査を進めて、ふたりの仲を裂こうとしている“邪魔者”を突き止めます。

 邪魔者の正体は本編で確認していただくとして、麻生さん、凄まじい行動力の持ち主ですよね。薬剤師としての探究心がそうさせるのか、驚異的なお人好しなのか……毎回、彼がどんな方法で患者の悩みを解決するのか、ページをめくる手が止まりませんでした。ポーカーフェイスながら熱い薬剤師魂を持つ麻生葛。彼の過去や、なぜ辺鄙なところで薬局をしているのか、その謎も気になります。

 キレ者の麻生さんとは対照的に、新人の浜菱はなかなかのオトボケ者。患者さんが来ないあまり、集客のために米を売ろうと画策したり、薬の知識を活かさずに「飲むだけで健康的になんかヤセるサプリ」を1年間も飲んでいたり、麻生さんとは別の意味で規格外の薬剤師です。麻生&浜菱の凸凹コンビっぷりも同作に花を添えています。

 じつは作者の三浦先生は“元薬剤師”という経歴の持ち主なので、薬に関わる解説がとてもわかりやすく、薬学の観点でも読み応え十分です。

 困っている患者に全力で手を差し伸べて人々の“お薬”になってくれる亜理亜薬局、近所にあったら行ってみたい!

文=とみたまゆり

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この記事で紹介した書籍ほか

処方箋上のアリア (1) (ビッグコミックス)

著:
出版社:
小学館
発売日:
ISBN:
9784098608461