「じゃあ泊まってく?」『かぐや様は告らせたい』「伝説」の22巻発売! ついに結ばれても…物語は終わらない!【ネタバレあり】

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公開日:2021/6/4

かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 22
『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 22』(赤坂アカ/集英社)

※本記事は22巻の内容を含みます。ご了承の上、お読みください。

 家柄が良く、秀才たちが集う秀知院学園。その生徒会の会長と副会長の恋を描く『かぐや様は告らせたい』22巻(赤坂アカ/集英社)は、ファン感涙?の“伝説巻”である。

 両想いで、もどかしいラブコメディ、サブタイトルは「天才たちの恋愛頭脳戦」。本作は名家の令嬢・四宮かぐや(しのみや かぐや)と白銀御行(しろがね みゆき)が、お互い「相手に惚れさせ、相手から告白させよう」と権謀術数の限りを尽くしてきた、まさに頭脳戦の記録だ。

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 14巻でお互いの気持ちを確かめ合い、16巻で正式な交際がスタート。長く2人を見守ってきた読者は感無量だったはずだ。だが頭脳戦は付き合ってからも続く。

ついにきた“そういう流れ”! 気弱な狼と怖がりの姫、2人きりの夜

 秀知院学園でも、ずばぬけた家柄である四宮グループの娘・かぐや。才色兼備、ほぼすべてにおいて他の追随を許さない彼女だが、唯一恋愛においてはポンコ……いや、その卓越した頭脳をもってしても空回りする。

 対して白金御行は、特待生として入学し、成績は常に学年1位。全国模試もトップクラスの成績で、米国スタンフォード大学への進学も決まっている。その人柄も含めて、生徒たちから敬意を集める生徒会長。だが彼も実は気持ちは弱いくせにプライドの高い“モンスター童貞”だった。

 前巻までで四宮家の問題に巻き込まれ、生徒会書記の藤原千花(ふじわら ちか)に場をかき乱される日常を過ごし、裏主人公・石上優(いしがみ ゆう)の青春エピソードを経て、かぐやと御行は「どうイチャイチャしよう」という頭脳戦を展開しつつ3年生になった。22巻はここから始まる。

 メインエピソードは「男と女のABC」だ。2人は男女交際には切り離せない性交渉について頭脳をめぐらせる。

 特にかぐやはそれについて必要以上に強く意識していた。ある日、彼女は御行と友人たちのボーイズトークを聞いてしまう。「正直めちゃめちゃしてえよ!?」と、彼氏である御行の叫びを耳にし、さらに意識する!

 そんななか、御行は彼女を自宅での食事に誘う。「今晩親父は帰らないが、妹の圭(けい)がメシを作るぞ」「楽しみですね」。だが圭は友達の家に泊まると連絡がくる。

 訪れた千載一遇のタイミングとシチュエーション! 逃す手はあるか? ビビる御行! かぐやは言う。

帰ったほうがいいんですか?

じゃあ泊まっていく?

 そう御行は口にし、就寝とその他もろもろの準備をしながら想像をふくらませ、必要なことを考える。そしてその前に現れる、風呂上がり“彼シャツ”姿のかぐや!

 彼女もまた、自分から言い出したとはいえ唐突なお泊まりにとまどい、この流れについて考えまくる。なおこのような事態のために、ゴム製の”お守り”は所持していた。

 だがこの期に及んで優しさ?を見せ、かぐやの布団をリビングに敷く気弱な狼。

 かぐやは御行のベッドに行っていいか尋ねる。ただ御行は、「かぐやがこのような行為は初めてで怖がっている」と感じていた。その時は心から「焦らなくて良いんだよ」と言った。

 だが……そのセリフが幸か不幸かスイッチになった。「はれええー?」と読者の声が聞こえてくるようだ。未読の人にお伝えできるのはここまでである。

神った2人(by石上)、大団円…とはまだまだいかない物語

 いわゆる「朝チュン」シチュエーション。帰宅したかぐやは、親友となった早坂愛にあっさりと語っていた。

後々考えれば少し愚かだったかも位が
普通のどこにでもいる高校生カップルって感じがするもの

 かぐやは嬉しそうだ。愛もにこやかに笑う。これで恋愛の頭脳戦は終わるのか。そのころ御行は格好つけたあげくの自らの行動に、のたうち回っていた。石上にはいつ言うのか。肉体関係のある男女に対して「あの二人、神ってますよ!」が口癖の彼に。

 なお、22巻からは物語の終盤戦であることが表明されている。四宮家の分家で、財界で勢力争いを続ける四条家の帝(みかど)が、3年生のこの時期に転校してきた。なぜこのタイミングに? 帝は全国模試で御行に勝ったことがあるほどの頭脳と、サッカーで全国制覇を成し遂げる運動能力をもつ。

 かぐやのことを姫さまと呼び、誰かと怪しげな連絡を取り合う。ポンコツにしか見えなかった校長も何かを感じているようで、「かぐやたちの助けに」と担任に厳命する。

 四宮家で「未来が決められている」かぐやは、誰からも支配されないために、家と戦う決意を固めていた。あと数カ月で海外へ進学する御行も、まだ子どもである自分がかぐやにできることは何かを考えていた。この最終章のタイトルは「白銀御行の戦い編」だ。

「好きになったら負け」と人は言う。かぐやと御行もそう思い、考えすぎ、回り道をしたかもしれないが、2人は確かに恋を実らせた。これからは、その“恋愛を守るための頭脳戦”になるのかもしれない。

 なお表紙カバーをとると、作者・赤坂アカ氏の「作品へのあとがきと最終章への意気込み」が書かれているのでじっくりと読んでみてほしい。

 22巻一気読みがいちばん良いが、アニメ化されていない続きから読むのもおすすめだ。なおアニメ3期の制作が決定し、実写映画も公開される。『かぐや様は告らせたい』はまだまだ終わらない。

文=古林恭