猫がくれる愛はこの世で一番の贈り物! 疲れた心を癒してくれる「通い猫」の奇跡の物語《シリーズ累計15万部》

文芸・カルチャー

公開日:2021/10/15

通い猫アルフィーの贈り物
『通い猫アルフィーの贈り物』(レイチェル・ウェルズ:著、中西和美:訳/ハーパーコリンズ・ジャパン)

 疲れた心を癒すには猫が一番だ。モフモフとした毛並み。好き勝手に動く長い尻尾。日向の匂いのする肉球…。猫にひとたび触れると、1日の嫌なことがすべて吹っ飛んでしまう。だけれども、肝心の猫は何を考えているのだろう。自由気ままなその姿に、こちらはすっかり虜にさせられているというのに、この思いは片想いに過ぎないのだろうか。

 そんな猫を愛し、猫に振り回され続けるすべての人に読んでほしいのが、累計発行部数15万部突破の大人気シリーズ「通い猫アルフィー」だ。灰色猫・アルフィーが複数の家を行き来する「通い猫」として周囲の人々を幸せにしていくこのシリーズは、とにかくハートウォーミング。シリーズ最新第7巻『通い猫アルフィーの贈り物』(レイチェル・ウェルズ:著、中西和美:訳/ハーパーコリンズ・ジャパン)でもアルフィーをはじめとする猫たちが巻き起こす奇跡に胸がいっぱいにさせられる。

 灰色猫・アルフィーは、老婦人の飼い主を亡くしてひとりぼっちになり、たどり着いたエドガー・ロードで「通い猫」として生きることを決意。複数の家に通いながら、エドガー・ロードに住む人間たちの悩みを次々と解決に導いてきた(第1巻)。はじめての恋を経験した後(第2巻)、今では薄茶と黒の縞の猫・ジョージを実の息子のように可愛がりながら生活している(第3巻)。通い先の家族みんなで別荘に滞在したり(第4巻)、日本から新しい住人と猫が引っ越してきたり(第5巻)、子犬の世話を任されることなったり(第6巻)…。たくさんの出会いと別れを経験しながら、アルフィーは他の猫たちと一緒に、いつだって周りのみんなが幸せになるための方法を探し続けているのだ。

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 第7巻で描かれるのは、クリスマスのエドガー・ロードだ。今年は通りのみんなでチャリティーをかねた大がかりなクリスマス会を開くことになり、準備に大忙し。実は、この会はアルフィーのアイデア。ホームレス支援のシェルターのために何かできることはないかと悩んでいた家族たちに、アルフィーはちょっとしたヒントを与えた。ステキな案を提案できたことを誇りに思うアルフィー。だが、エドガー・ロードには問題が山積み。猫たちの力なしでは解決できないことばかりなのだ。

 たとえば、通い先の家族のひとり・トミーが反抗期に突入。明るい性格の優しい少年だったのに、最近はずっと不機嫌。家や学校でも態度が悪くて両親や先生を困らせている。そんなトミーの心を解きほぐそうとアルフィーは彼を見守り、そっとその心に寄り添おうとしている。さらには、クリスマス会の会場が何者かに荒らされる事件も頻発。一体、誰がクリスマス会を妨害しようとしているのか。アルフィーはエドガー・ロード中の猫に犯人探しの協力を依頼。犯人に立ち向かおうと計画する。みんなの幸せを願うアルフィーは、無事クリスマス会を成功させることができるのだろうか。

 猫からもらう愛以上に偉大な贈り物なんてこの世の中にはないだろう。この本を読んでいると、健気なほどにみんなの笑顔のために奮闘するアルフィーが愛おしくてたまらなくなる。そして、アルフィーの周囲を大切に思う優しさは、息子同然に育ててきたジョージをはじめ、他の猫たちにも確かに影響を与えている。猫たちはみんなで協力してエドガー・ロードの人たちのために奮闘しているのだ。

 猫たちからこんなにも愛してもらえるなんてエドガー・ロードの人々はなんて幸せなのだろう。だが、どの猫も本当はみんなアルフィーのような優しさを内に秘めているのかもしれない。本当はあなたの家にいる子もあなたのことを大切に思ってくれているのかもしれない。このシリーズを読むと、そんな期待に胸が膨らむ。さらに第7巻ではラストにシリーズ最大のサプライズが! ああ、なんて温かく優しい物語なのだろう。幸せな気分で心が満たされていく。あなたもこの本で疲れた心を癒してはいかがだろうか。アルフィーたちと一緒に、ちょっぴり早いクリスマスムードに浸ってみよう!

文=アサトーミナミ

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