往年の熱気が甦る! アメリカン・ニューシネマのポスターたちが伝える、1970年代の息吹

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更新日:2021/10/18

アメリカン・ニューシネマ 70年代傑作ポスター・コレクション ポスター・アートで見るアメリカの肖像

著:
編集:
その他:
出版社:
DU BOOKS
発売日:

 家で過ごす時間が増えた昨今。ひとりでも楽しめる、外で密にならない、家の中でもできる! そんな魅力的な趣味やエンタメを、本から見つけてみては? 何かを楽しんでいるマニアな先達から魅力を聞くのが一番、ということで、編集部おすすめの“マニア本”を特集でお届けします!

アメリカン・ニューシネマ 70年代傑作ポスター・コレクション ポスター・アートで見るアメリカの肖像
『アメリカン・ニューシネマ 70年代傑作ポスター・コレクション ポスター・アートで見るアメリカの肖像』(DU BOOKS)

 アメリカン・ニューシネマ!ーー映画好きを自称する人の中には、その「魔法の言葉」を耳にするだけで、胸のドキドキが止まらない!という方も多いんじゃないだろうか。代表作の題名をざっと挙げていくだけでも、名作がずらりと並ぶ。『俺たちに明日はない』(67年)、『卒業』(67年)、『イージー★ライダー』(69年)、『ワイルドバンチ』(69年)、『真夜中のカウボーイ』(69年)、『ゴッドファーザー』(72年)、『チャイナタウン』(74年)、『カッコーの巣の上で』(75年)、『狼たちの午後』(75年)、『タクシードライバー』(75年)、『ディア・ハンター』(78年)、そして『地獄の黙示録』(79年)――。

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イージー★ライダー
イージー★ライダー
Easy Rider
アメリカ版1シート: スタイルC / コロンビア映画
(『アメリカン・ニュー・シネマ70年代傑作ポスター・コレクション』より)

タクシードライバー
タクシードライバー
Taxi Driver
アメリカ版ビデオ・プロモーション用 / コロンビア・ピクチャーズ・ホーム・エンターテインメント
(『アメリカン・ニュー・シネマ70年代傑作ポスター・コレクション』より)

地獄の黙示録
地獄の黙示録
Apocalypse Now
アメリカ版1シート: 先行版 / ユナイテッド・アーティスツ / AW: ボブ・ピーク / 益川進(作品ロゴ)
(『アメリカン・ニュー・シネマ70年代傑作ポスター・コレクション』より)

 時代は1960年代後半~70年代。ベトナム戦争が泥沼化しつつある中、行き場を失っていた当時の若者たちのリアルな心情と向き合ったアメリカン・ニューシネマの物語は、今の時代に観直しても、決して古びてない。むしろ、その輝きの「きらめき」は、かえって増しているようにさえ思える。

 本書『アメリカン・ニューシネマ 70年代傑作コレクション ポスター・アートで見るアメリカの肖像』は、そんなアメリカン・ニューシネマの名作を、世界各国で流通していたオリジナルのポスター・アートで振り返ろう!という主旨の、ビジュアル・ブックだ。編者の井上由一さんは、映画の制作・配給会社に勤務するかたわら、趣味で映画ポスターの収集を開始。Eメール環境がまだ貧弱だった時代には、自分が持っているポスターの写真を紙に貼り、FAXで送ることで世界各国のコレクターとトレード(交換)したり、海外のディーラーが集う展示会に直接赴いたりしながら、コレクションの数を地道に増やしていったのだという。

 本書には、そのコレクションのほんの一部が掲載されており、中には貴重なお宝(ジョン・カサヴェテス監督作の自主制作ポスターとか!)も多数含まれている。よくよく見ると、あちこちに折れ目の線が付いているようなものもあるのだけど、その「使用済み感」は、ここに集められたポスターが、どれも「本物」であることの証しでもある。

卒業
卒業
The Graduate
アメリカ版1シート: スタイルA / エンバシー・ピクチャーズ
(『アメリカン・ニュー・シネマ70年代傑作ポスター・コレクション』より)

真夜中のパーティー
真夜中のパーティー
The Boys in the Band
日本版半裁 / 東和 / AW:大西修子 / 細江英公(写真)
(『アメリカン・ニュー・シネマ70年代傑作ポスター・コレクション』より)

砂丘
砂丘
Zabriskie Point
アメリカ版スペシャル / MGM / AW: ミルトン・グレイザー
(『アメリカン・ニュー・シネマ70年代傑作ポスター・コレクション』より)

 過去のハリウッド映画界の古臭いルールを「ぶっ壊す」ことを目的に誕生したと言っても過言ではないアメリカン・ニューシネマのポスターは、デザインも斬新で、いい意味で「クセが強い!」ものが多い。たとえば『白昼の幻想』(68年)の日本版ポスターのデザインを手がけたのは、当時、気鋭の新進アーティストとして注目を集めていた若き日の横尾忠則! めくるめくサイケデリックな色彩感は、今見ても文句なしにカッコいい――と、ただの興行記録という側面を超え、当時のカルチャー・シーン全体のむせ返るような「熱気」がダイレクトに甦ってくるのも、本書の魅力のひとつだろう。アメリカン・ニューシネマが熱かった時代、映画ポスターもまた、熱く、熱く燃えていたのだ。

文=内瀬戸久司

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