妊娠・出産・夫との不仲を乗り越えて…フリーランス歴10年のイラストレーターが“いい感じの働き方”に辿り着くまで

ビジネス

公開日:2021/12/21

子育てしながらフリーランス
『子育てしながらフリーランス』(カワグチマサミ/左右社)

 これからは組織ではなく、個人の時代。そんな声がよく聞かれるようになってきた近年は、「フリーランス」という働き方を選択する人が増えてきている。

 フリーランスは、自分でクライアントや働く場所を選べるのが長所。しかし、売り上げが収入に直結するので、仕事に費やす時間が確保できないと収入が得られないというデメリットが。そのため、妊娠・出産を機に思うように働けなくなった子持ちフリーランスの中には、焦りやもどかしさを感じている人もいるのではないだろうか。

 そんな方の心を救うのが『子育てしながらフリーランス』(カワグチマサミ/左右社)。カワグチマサミさんは、フリーランス歴10年のイラストレーター。自身も産後に子育てと仕事の両立に悩んだ経験をもとに、仕事も家庭も大切にできる“いい感じ”の働き方を漫画とコラムで紹介している。

 各章冒頭の漫画では、著者自身が実際にフリーランスで子育てをしてみてわかったことが赤裸々に描かれており、コラムでは子育て中でもできる仕事の売り込み方やSNSの効果的な使い方など超実用的なハウツーが知れるので、フリーランス初心者はもちろん、スキルアップを考えている方にとっても頼れる一冊となっている。


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目が離せない育児期間には「理想のフリーランス地図」を描こう

 著者いわく、“いい感じ”に働くためにはまず自分の心と向き合い、理想のフリーランス地図を描くことが大切なのだそう。「どんな働き方がしたい?」「3年後にはどんな暮らしがしたい?」「人生や仕事で大切にしたいことは?」などを自分に問いかけながら、ゴールを明確にし、今できることを考えていくとよいのだとか。

 その際は、自分が理想とする働き方(生き方)と似ている人を3人以上見つけ、実績を確認しながら、その人たちがどういう方法でフリーランスとして活動するようになったのかを分析。理想の未来を掴むヒントを得る。

 また、フリーランスで働くための原動力になる「ワクワク」、フリーランスの本質となる「スキル」、そして、仕事や社会との繋がりになる「ニーズ」に着目し、自分の武器にできる「強み」を見つけることも理想の未来を手に入れることに繋がると著者は語る。

 本書では「ワクワク」や「ニーズ」の見つけ方、「スキル」の上げ方が詳しく解説されており、自分の強みを見つけられるワークも収録されているので、そちらも要チェック。

 つい頑張ってしまうベテランフリーランスの方はもちろん、子育てを機にフリーランスを目指したいと考えている方も、自分を追い詰めない“いい感じの働き方“を見つけてほしい。

「夫婦不仲」はどう解決する? 仕事も家庭も大切にできる“いい感じの働き方”

 子どもが学校に通い始めたら、これまでの分を取り戻すためにバリバリ働こうと考えている子持ちフリーランスは少なくないはず。

 だが、著者は自身が産後に仕事復帰した際、働きすぎて心身がボロボロになり、夫婦仲が悪くなってしまったことがあったため、頑張り屋フリーランスに対し、自分と家庭を守ることができる“いい感じの働き方”をアドバイス。

 本書では経験談を交えつつ、家事負担の減らし方、互いがストレスを溜め込みにくい家事シェア法、夫婦仲を良く保つために心がけている8つのポイントなどを紹介している。

 例えば、著者は在宅フリーランスの人こそ、パートナーと仕事の話をすることを習慣化していこうと提案。パートナーが会社員の働き方しか知らない場合は、在宅フリーランスの働き方が理解されにくいことがあるため、どんなクライアントとどういった仕事をして、どれだけ稼いでいるかなどを具体的に伝え、分かってもらうのもおすすめだという。

 実際、著者宅では互いに仕事の話をしたことでスケジュールが把握し合え、どちらかが忙しい時にはもうひとりが家事をするなど、自然と気配りができるようになったのだとか。

 家庭と仕事は、どちらもかけがえのないものだ。自分らしい働き方をしつつ、大切な家族と笑顔で暮らしていきたいという、ささやかだが尊い願いを本書で叶えてほしい。

文=古川諭香

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