戸締りや火の元が気になる…初詣に行かないと不安…ひょっとして「強迫性障害」かも!?

暮らし

公開日:2022/1/6

精神科医が教えないプチ強迫性障害という「幸せ」
『精神科医が教えないプチ強迫性障害という「幸せ」』(杉山崇/双葉社)

 戸締りや火の元が心配で家に戻る、財布を落とした気がしてカバンをひっくり返して探した…一度気になってしまうと心配でじっとしていられなくなったこんな経験、あなたも覚えがないだろうか。それで安心が得られれば問題はないが、中にはこうした心配が度をすぎてしまい、もはや日常生活に支障をきたすレベルにもなってしまう人がいる。こうした症状を精神医学では「強迫性障害」と呼ぶが、最近はコロナウイルスに対する不安から、この病理に悩まされる人が急増しているという。

『精神科医が教えないプチ強迫性障害という「幸せ」』(杉山崇/双葉社)は、そんな強迫性障害とはどんなものなのか&どうすればいいのかをわかりやすく教えてくれる一冊。本書によれば強迫性障害とは「不安や心配を生み出す考え(強迫観念)が頭から離れず、その不安や心配を払拭するために、『儀式』といえるようなある行為(強迫行為)を何度も繰り返してしまう病理」とのこと。たとえば出張にでかける直前、突然忘れ物が不安になって荷物をひっくり返して確認し、慌ててタクシーに乗ったと思ったら鍵と火の元が気になって気になって自宅に引き返し、結局、乗るはずだった飛行機に間に合わずチケットを買い直す羽目になる…なんてケースだ。荷物も留守宅も「確認」したことで心が落ち着くというメリットはあるが、遅刻というデメリットは仕事の信頼度に影響が出る大きなマイナスになりかねない。このように「心配払拭第一主義になって無駄な行動が繰り返される」状況が強迫性障害なのだ。

 ところで「障害」と言われると大ごとのように思えるが、たとえば「初詣」に行くのも「行かないと不安だから」と強く感じるからなら、「強迫観念のもとの儀式化した行動」ともいえる(そうした行動を著者は「プチ強迫性障害」と呼ぶ)。つまり強迫性障害はすべてが不幸につながるわけではないし、むしろ「初詣」なら幸せアップなわけで、受け止め方は人それぞれなのが実情だ。そのため「幸せか不幸か、自分で選んでいないとしたら後悔をもたらすかもしれない」点が強迫性障害を問題にするかどうかの見極めポイントになってくる。

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 実は強迫性障害の心理学的、脳科学的なメカニズムは科学的にすべて解明されており、正しいステップを踏めば、すぐにやめられるというから、ひと安心。本書はそうした強迫性障害の特徴とそのメカニズムをわかりやすく解説するだけでなく、具体的な「“卒業”の方法」まで紹介してくれるので頼りになるだろう。さらに治さなくてもラクになる付き合い方もあるとのことで、そんな心得もさまざま教えてくれる。ちなみに著者自身が仕事に対してプチ強迫性障害だったとのことで(重度の強迫性障害から現在はプチ強迫性障害と共存状態)、そんな経験者の目線だからこその「親身な」アドバイスもうれしい一冊だ。

 なんか私、心配しすぎて生きづらくなっているかも…そんな気持ちがある方は手にとってみると、少し気持ちがラクになるかもしれない。不安や心配は誰にでもある感情だけに、本書を参考に上手に付き合っていきたいものだ。

文=荒井理恵

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